運動して筋肉が疲労する原因は、乳酸が蓄積するから。つまり「乳酸=疲労物質」と言われた説は、現在では否定的な見解が主流です。

乳酸たまるから疲れるはウソ?

 それでは、なぜ疲労は起こるのでしょうか。そのメカニズムについて調べてみました。

 疲労は、肉体的なものと精神的(脳)なものがあり、メカニズムにはさまざまな説がありますが、どちらも「活性酸素が細胞を傷つけることで起こる」という説が有力です。特にアスリートのように激しい運動を行う場合、活性酸素が大量発生し、筋肉に蓄積するというもの。筋肉疲労を回復するには、活性酸素を除去するビタミンA、C、Eやポリフェノール類などの抗酸化成分が有効であるといわれています。

鶏むね肉は含有量多くおすすめ

 その中で、最近、疲労回復成分として注目されているのが「イミダペプチド(イミダゾールジペプチド)」です。一体、どのようなものなのでしょうか。

 イミダペプチドは、渡り鳥の翼の付け根や回遊魚であるマグロの尾びれに多く含まれている「疲労回復物質」。体内でヒスチジンとβ-アラニンというアミノ酸に分解され、疲労の激しい脳や筋肉に運ばれた後、再度イミダペプチドに合成されます。

 このイミダペプチドは抗酸化力が強く、活性酸素を除去してくれるので、試合などで疲れた時には積極的に摂りましょう。マグロやカツオ、鶏肉、牛肉、豚肉に多く含まれています。特に鶏のむね肉は含有量が多く、価格も安いため、使いやすいのでおすすめです。

 イミダペプチドは熱には強いのですが、水溶性のため、煮込み料理では煮汁に流れ出てしまいます。蒸したり炒めたりして食べるのが効率的ですが、カレーやシチューなど煮汁も一緒に食べる料理にすると、無駄なく摂ることができるでしょう。

【管理栄養士・今井久美】