運動すると疲れますが、疲労にはいくつか種類があることが分かっています。一概に「疲労回復」と言っても、疲労の種類によって対策が異なります。そこで、今回は疲労の種類と対策についてまとめてみました。

エネルギー不足による疲労

 運動により消費されたエネルギー(ブドウ糖)が不足し、グリコーゲンが低下して起こります。これに対しては「炭水化物を補う」のが有効です。運動前に炭水化物中心のおにぎりやパンを食べる、運動中には糖質が含まれるスポーツドリンクを摂る、運動後は速やかに軽食や食事を摂ることで、早く回復します。

筋肉の破壊による疲労

 強度の高い運動を行うと筋肉が破壊され、これを修復する時に筋肉が増強されると言われています。筋肉痛が筋肉の破壊を顕しており、運動の強度にもよりますが、修復にかかる時間は16~48時間だそうです。

 少しでも筋肉の破壊を軽減し、回復を早めるには「タンパク質の摂取」が必要です。空腹状態で運動することは避け、運動中にアミノ酸であるBCAAを含むドリンクを摂取する、運動後はできるだけ早く肉、魚、卵、大豆製品などタンパク質の含まれた食事や軽食(ヨーグルト、牛乳、プリン、チーズ、バナナ、豆乳など)を摂るのが有効です。

酸化物質の蓄積による疲労

 運動により活性酸素が発生し、酸化物質が蓄積することによる疲労です。試合などで疲れた時には抗酸化力が強く、活性酸素を除去してくれるイミダペプチドを積極的に摂りましょう。

精神的(神経)疲労

 神経伝達物質のセロトニンはリラックス効果をもたらしますが、不足すると疲労感を感じます。セロトニンはトリプトファンというアミノ酸から作られますが、トリプトファンは体内で合成できない必須アミノ酸で、毎日食事から摂る必要があります。乳製品、カツオやマグロなどの魚類、ナッツ類、大豆製品、鶏卵などに多く含まれており、ビタミンB6もセロトニンの合成を促進します。また、ウオーキングなどのリズミカルな運動、腹式呼吸、朝日を浴びることでセロトニンを増やすことができるとも言われています。

 このように、疲労の元をたどることで、リカバリーも早くなります。また、原因を少し意識することで、疲労をため込まずに過ごせるでしょう。

【管理栄養士・今井久美】