前回のコラム(「下痢・便秘改善にはビフィズス菌、免疫力アップには乳酸菌」)でもお伝えした通り、腸内細菌の種類には個人差がありますが、太った人に多い菌種、やせた人に菌種などがあることも分かっています。
やせた人に多い菌には、ビフィズス菌も含まれています。ビフィズス菌は、大腸で短鎖脂肪酸(酢酸、プロピオン酸、酪酸)を作ります。短鎖脂肪酸は、大腸でエネルギー源として使われますが、脂肪酸受容体を刺激してエネルギー消費が上昇し、脂肪蓄積を抑制するため、やせやすくなります。また、大腸を酸性に保ち、悪玉菌(大腸菌やウエルシュ菌など)の増殖を抑制する効果もあります。
腸内細菌は、大きく4つのグループに分類され、やせた人にはバクテロイデス属が多いと言われていますが、これらの菌も短鎖脂肪酸を作ります。やせには短鎖脂肪酸が重要な役割を担っています。
一方、太った人に多い菌は、ファーミキューテス属が多いと言われています。これらの菌は、本来排泄される脂質や糖質まで吸収してしまうため、太りやすくなります。これらが多い人の食生活は、脂質の多い食事を好む傾向があることも分かっています。
その他、うつ病や糖尿病にも腸内細菌が関わっており、炎症性腸炎では、健康な人の便や腸内細菌を移植して病気を改善する治療法も開発されています。
どの菌が多いかは、出生時に母親からもらった腸内細菌をもとに、食物や生活習慣により個性化します。良い菌を増やすように心がけたいですね。
【管理栄養士・今井久美】