脳のパワーをアップさせる食事、脳に重要な栄養素を含む食品「ブレインフード」が、日本でも脚光を浴びている。

話題のきっかけは、今年3月に出版された書籍「Brain Food: The Surprising Science of Eating for Cognitive Power(和訳:ブレインフード:認知能力に関する食事の驚くべき科学)」。

米国のワイルコーネル医科大が運営するアルツハイマー予防クリニックの院長補佐、リサ・モスコーニ准教授が、食事と脳の健康の関係に関する研究をまとめたものだ。

リサ・モスコーニ准教授の著書「Brain Food」の表紙
リサ・モスコーニ准教授の著書「Brain Food」の表紙

モスコーニ准教授はイタリア出身で、24歳の時に米国に移住。食生活の変化で体と仕事に悪影響を受けたとし、食事は認知症だけでなく、日常生活や仕事にも大きな影響を及ぼすことを知ったという。それまで食べていた地中海食に注目し、その経験を基にした研究で5つの食品を脳の健康を促進する「ブレインフード」として紹介した。

<モスコーニ准教授推奨の5つのブレインフード>

キャビア
脳に欠かせないオメガ3系脂肪酸を摂取できるだけでなく、神経系を正常に保つビタミンB6とB12、記憶との関連が指摘されるコリン、鉄やマグネシウムなどのミネラルが含まれている。

緑黄色野菜(葉物)
ホウレン草、スイスチャード、ケールなどは、神経系の健康に必要なビタミンに加え、ミネラルや食物繊維など病気と闘うために必要な栄養素が豊富。

ベリー類
ブルーベリー、イチゴ、ラズベリー、ブラックベリーなどのベリー類は、加齢による記憶低下の予防を助ける抗酸化物質が豊富に含まれている。

エクストラバージン・オリーブオイル(EVOO)とアマニ油
老化予防となるオメガ3系脂肪酸やビタミンEを含む。EVOOは悪玉コレステロール濃度を下げるとされるオメガ9系脂肪酸(オレイン酸など)も豊富。

生のカカオ
細胞の老化を防ぎ、心臓病のリスクを軽減させる強力な抗酸化物質テオブロミンを含む。カフェインと同じように血管を拡張して脳への血流を改善する作用を持つが、興奮作用はない。80%以上カカオが含まれるダークチョコレートも効果がある。

このほか、脳の8割を占める「水」の大切さも語っている。

他の専門家もすすめる「15のブレインフード」

またモスコーニ准教授以外でも、「ブレインフード」をすすめる専門家もいる。「すべての不調をなくしたければ除菌はやめなさい」の著者として日本でも知られるジョシュ・アックス博士も、自身の公式サイトで食べるべき15のブレインフードとして、以下の食品を紹介している。

自然療法医師、臨床栄養士のアックス博士が推奨するのは、アボカド、ビーツ、ブルーベリー、骨のだし汁(ボーンブロス)、ブロッコリー、セロリ、ココナッツオイル、ダークチョコレート、卵黄、EVOO、緑黄色野菜(葉物)、ローズマリー、サーモン、ターメリック、クルミ。

これらの食品は、私たちの体に必要な栄養素をたっぷり含んでいるものばかり。日常の食事に上手に取り込むと、脳も一層、元気になるのかもしれない。

【ロサンゼルス=千歳香奈子通信員】