<おにぎり今昔物語(1)>
突然ですが、「おにぎり」と「おむすび」の違い、ご存じですか? 同じ握った飯の呼び名ではありますが、違いについては諸説あり、形や地方によるものだという内容が多いようです。でも、どれも俗説の域を出ていません。
唯一、確かだろうと言われているのが、それぞれの言葉の発祥について。このお米を握った食べ物、もともと古くは「にぎりめし」と呼ばれており、鎌倉時代から戦国時代、つまり武士の時代はこの呼び名が主流でした。
武士言葉と女官言葉
そして乱世が終わり、平和が訪れると「にぎりめし」の丁寧語として「おにぎり」が登場しました。
一方で、「おむすび」は江戸時代、宮中や大奥の女官言葉がルーツ。つまり「おにぎり」は武士(男)言葉が転じたもの、「おむすび」は女官(女)言葉が現在まで根付いたものといえます。
また、ゲン担ぎに食べる「勝負めし」という言葉の由来も、この武士の時代にあると考えられています。「にぎりめし」が戦場で食べられる兵糧へと役目を変え、携帯できる栄養食として重宝されました。当時、お米は貴重で、普段は麦やアワのかゆしか食べられない農民たちが“武士になれば食べられる”と、「にぎりめし」目当てに志願兵として集まったといいます。
武士のように「勝負を決する場で食べる飯」の名残が「勝負めし」という言葉であるといえそうです。
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