乳酸菌入りの商品がたくさん売られていますが、何が違うのか、どれを選んだら良いのか迷うことがあるでしょう。それぞれの菌には特徴があります。今回は、ヨーグルトなどの乳製品売り場の商品で使われている乳酸菌を紹介します。
●シロタ菌(ラクトバチルス・カゼイ・シロタ株)
・利用メーカー=ヤクルト
ヤクルトの生みの親、代田(しろた)稔さんが発見した菌で、胃酸や胆汁など酸やアルカリに強い菌です。免疫力を高める働きがあり、発展途上国の感染症予防にも貢献しています。
●ラブレ菌(ラクトバチルス・ブレビスKB290)
・利用メーカー=カゴメ
医学博士、岸田綱太郎さんが京都の食文化を研究し、すぐき漬けから発見した植物由来の乳酸菌で、胃酸でほとんど死滅しない強い生命力があります。免疫力を高め、コレステロール値を下げる働きがあります。
●R-1乳酸菌(ラクトバチルス・カゼリOLL1073R-1株)
・利用メーカー=明治
明治が開発したEPS(多糖体)を作りだす乳酸菌。ESPはインフルエンザウイルスなどと戦い、体の免疫力を上げ、NK細胞(ナチュラルキラー細胞)を活性化してくれます。また関節炎予防効果があり、リウマチ対策にも有効です。
●L-92乳酸菌(ラクトバチルス・アシドフィルスL-92株)
・利用メーカー=アサヒ飲料
カルピスに由来する乳酸菌。アレルゲンが侵入すると、体は異物を排除するヘルパーT細胞を免疫細胞のTh1細胞とTh2細胞となって戦おうとしますが、この両細胞のバランスが崩れるとアトピー性皮膚炎や花粉症などのアレルギー疾患が発症します。Th1、Th2のバランスを整える働きを持つのが、L-92乳酸菌です。
●プラズマ乳酸菌(ラクトコッカス・ラクティスJCM5805菌)
・利用メーカー=キリン
キリングループが開発した乳酸菌。小腸で吸収され、免疫細胞の司令塔である「プラズマサイトイド樹状細胞(pDC)を直接活性化させ、インフルエンザなどのウイルス感染を防御します。また、激しい運動後に低下しがちな免疫力を高めることで、運動後の体調不良や疲労蓄積を軽減します。肌の免疫力とバリアー機能向上効果も報告されています。
●シールド乳酸菌(ラクトバチルス・パラカゼイMCC1849株)
・利用メーカー=森永乳業
森永乳業が開発したヒト由来の加熱殺菌された乳酸菌。死菌であっても免疫力を高め、体を盾(シールド)のように守る、インフルエンザ予防や抗アレルギー力があります。死菌のため、加工食品に応用しやすく、タブレットの他さまざまな食品に利用されています。
●乳酸菌B240(ラクトバチルス・ペントーサスONRICb0240)
・利用メーカー=大塚製薬
タイの発酵茶「ミヤン」から抽出した乳酸菌で、免疫に関わるIgA抗体を増やし、鼻や口腔、消化管といった粘膜免疫を高めます。その結果、風邪や感染症、食中毒を予防します。
●ガセリ菌SP株(ラクトバチルス・ガセリSBT2055株)
・利用メーカー=雪印メグミルク
旧雪印乳業が日本人のおなかから発見したヒト由来の乳酸菌。腸内への定着率が高く、内臓脂肪を減らす効果があります。
●LG21乳酸菌(ラクトバチルス・ガセリOLL2716株)
・利用メーカー=明治
胃酸に強く、胃でピロリ菌を攻撃し、ピロリ菌抑制効果があります。胃の痛みや胃のもたれなどのつらい症状が慢性的に続いているのにも関わらず、検査をしても原因が見つからない機能性ディスペプシアを軽減する作用も報告されています。
さまざまな種類がある乳酸菌ですが、共通するのは、整腸作用や免疫力を高める効果があることです。激しい運動をするアスリートや睡眠不足になりやすい受験生は、免疫力が低下しやすいため、積極的に乳酸菌を利用しましょう。
腸内菌種は人によって異なるため、合う、合わないがあります。摂り始めてすぐに効果が出るものではなく、短期間で体外排出されてしまいます。1つの菌を3週間ほど続けて合うかどうか判断したり、色々な菌を取り入れてみたり、試しながら自分に合う乳酸菌を見つけましょう。
【管理栄養士・今井久美】