発酵食品の1つに納豆があります。ご飯にのせたり、オクラなど野菜とあえてそのまま食べたり、ハンバーグの具材など加熱料理に加えて食べたりできるので、毎日の食卓に上る機会も多いでしょう。
納豆に含まれる納豆菌は、学名を「バチルス subtilis natto」といい、乳酸菌とは違います。酸や熱に強く、100℃以上でも死滅しません。増殖力が強く、適切な環境下では約40分で2倍に増えます。納豆100gには納豆菌が1000億個含まれているといわれているので、納豆1個(約40g)には、400億個含まれていることになります。
しかし、納豆菌は好気性菌(酸素を好む)のため、空気の届きにくい腸管では芽胞を作り休眠状態になります。納豆菌が腸管で活発に活躍することは期待できません。とはいえ、ビフィズス菌を増加・安定化させる働きがあると報告されているので、ビフィズズ菌と一緒にとると、大腸でその効果を高め、整腸作用が期待できます。
また、納豆菌はビタミンK(K2)を産生します。ビタミンKは骨を形成するのに必要で、成長期だけでなく、骨折予防のためにも積極的に摂りたいビタミンです。ビタミンKには血液凝固作用もあり、ケガをした時、止血するのにも必要です。
さらに、納豆菌が納豆のタンパク質を分解したアミノ酸から作り出す物質「ジピコリン酸」には強い抗菌作用があります。食中毒菌やO-157の予防に効果的です。
簡単に食べることができ、安価で1人暮らしの人でも使いやすい納豆。タンパク質も豊富ですし、納豆菌の効果も期待して、日々の食事に取り入れてみてください。
【管理栄養士・今井久美】