アメリカでは、毎年11月第4木曜日の祝日「感謝祭(サンクスギビングデー)」に家族が集まって、七面鳥の丸焼きを食べながら健康や幸せなどを感謝する習わしがあります。しかし今年は、七面鳥の売り上げが減少し、代わりに豆腐でできたロースト七面鳥「トーファーキー」が売り上げを伸ばしました。アメリカの伝統的な食卓にも、ヘルシー化の波が押し寄せているようです。

トーファーキー(Tofurkey)とは、豆腐(Tofu)とターキー(七面鳥、Turkey)の造語。オレゴン州に本社があるタートル・アイランド・フーズが1995年、菜食主義者向けに開発した冷凍食品です。

箱詰で売られているトーファーキー。左がローストターキー、右がハム
箱詰で売られているトーファーキー。左がローストターキー、右がハム

七面鳥の丸焼きに似せて、フットボール大のハムの塊のような形状をしており、スタッフィングと呼ばれる米をベースにした詰め物やグレービーソースもついていて、オーブンで数時間焼いてから食べるようになっています。もともと七面鳥は、チキンに比べても淡泊な味わいのため、トーファーキーも違和感なく食べられる人が多いようです。

販売当初は500個だった売り上げは、ここ10年毎年右肩上がりで、ビジネス誌フォーチュンの電子版によると、今年の販売数は500万個。全米で毎年4600万羽の七面鳥が感謝祭の食卓に並ぶと言われる中、その1割以上がこのトーファーキーだったと言われています。

七面鳥の丸焼きが食卓に並ぶ感謝祭の伝統は消滅の危機にある?
七面鳥の丸焼きが食卓に並ぶ感謝祭の伝統は消滅の危機にある?

クリスマスもヘルシー食品の需要高まる

ミニマムな暮らしを好むミレニアル世代を中心に、食品ロスへの罪悪感や健康志向が高まり、七面鳥も丸々太って10kgを超すようなものより、小ぶりなものか、代替肉を使ったよりヘルシーなものを好む傾向にあるようです。米経済誌フォーブスは「大きな七面鳥を丸焼きにして家族団らんをする伝統的な感謝祭は消滅の危機にある」と伝えています。

植物性肉は過去1年の間、米国内で20%も売り上げを伸ばしており、タール・アイランド・フーズは他にも豆腐を主原料としたハムやソーセージ、ベジバーガー、ローストチキンなども販売。クリスマスに向けて、ミートフリーのステーキ用ローストハムの需要も高まっているようです。

【ロサンゼルス=千歳香奈子通信員】