寒い時期には体が温まる鍋料理が多くなります。簡単に作れ、色々な具材が入れられるのが鍋の特徴です。さまざまな味の「鍋の素」が売られていますが、鍋のおいしさは具材から出るうま味が重要な役目を担っています。そこで、五味の1つ「うま味」についてまとめてみました。

グルタミン酸

昆布から抽出されるアミノ酸で、チーズや緑茶にも含まれています。うま味調味料に使われていますが、溶けやすくするため、うま味調味料にはグルタミン酸ナトリウムとして入っていますので、塩やしょうゆなど調味料の使用量を調節してください。

グルタミン酸は神経伝達物質でもあるので、多量に摂ると興奮毒性がありますが、通常の食事での摂取量では心配はいりません。

アスパラギン酸

アミノ酸の一種。枝豆やソラ豆、モヤシのような豆類、レンコンやアスパラガスなどの野菜類に豊富で、昆布にも多く含まれています。疲労回復作用があるといわれています。熱に弱いので、野菜類は加熱し過ぎない方がおいしく食べられます。

イノシン酸

かつお節の主なうま味成分。DNAの構成成分である核酸の一種で、煮干しなど魚、肉に多く含まれています。かつお節は多めに使うと、濃いおいしいだしがとれますが、二番だしを利用したり、ふりかけにするなど、一度で捨てずに活用してください。

グアニル酸

干しシイタケに含まれる核酸。含まれる食材は、海苔、ドライトマト、乾燥ボルチーニなど限られています。干しシイタケを戻す際は、5℃ぐらいの低温の水で戻した方が、グアニル酸が多く摂れます。

コハク酸

貝類に含まれ、少量でも強いうま味があります。酸性の有機酸で、魚の生臭さを抑える効果もあり、酒やみりんにも含まれています。

これらうま味は、ミネラルが影響を与えるので、だしは軟水でとりましょう。うま味によって調味料を減らしても、おいしく食べられます。

アミノ酸系と核酸系のうま味を混ぜると、相乗作用でうま味が強くなります。昆布だしとかつおだしを合わせた「合わせだし」のうま味は、昆布だしの7倍になるそうです。尿酸値が高いお父さんは、イノシン酸などの核酸系のだしは体内で尿酸に変わるので、摂り過ぎに注意しましょう。

【管理栄養士・今井久美】