私たちの腸内には数多くの細菌がすんでおり、腸内細菌がいろいろな疾病や肥満などに影響を与えていると指摘する研究が数多く発表されています。

ところで、そもそもそうした細菌はどこから私たちの腸内に来たのでしょうか?

森永乳業と、アイルランドのコーク大学施設内にある「APCマイクロバイオーム研究所」との共同研究では、「入浴習慣によって家族間で腸内細菌が伝播している可能性がある」としています。

これまで、ビフィズス菌は赤ちゃんが産まれる際、母親の産道を通って受け継がれること(母子伝播)で腸内に定着することが通説とされていました。

しかし今回の研究では、家族間での腸内細菌の伝播経路として日本人特有の入浴習慣に着目。まず、子どもと両親が一緒に入浴する5家族(計21人)の入浴後の浴槽水と、入浴した被験者の腸内に存在する細菌叢(そう)を比較解析したところ、共通の細菌群が存在していることがわかりました。

また、5家族すべての浴槽水から検出されたビフィズス菌株と、被験者の糞便から分離したビフィズス菌株をあわせたゲノム情報を比較してみたところ、ほぼ同一である組み合わせが見いだされました。

さらに、子どもと両親が一緒に入浴する11家族と、別々に入浴する5家族、計59人の腸内細菌叢を比較。その結果、ビフィズス菌に限らず、子どもと両親が一緒に入浴する家族のほうが家族間で共通の腸内細菌数を多く保有していることが示唆されました。