スポーツ栄養の大切さは、スポーツの指導者にも理解され始めており、最近では、試合や練習の後に補食の摂取をすすめる指導者も増えています。運動中や運動後に摂る補食は、どんなものが向いているでしょうか。また、どんな食べ物なら持ち運びしやすいでしょうか。
運動中は糖質含むスポーツドリンクや果物
運動中はたくさんのエネルギーを使います。運動している間は、体は興奮状態ですから、交感神経が優位になっていて胃腸の消化能力は低下しています。消化が良く、吸収の早い糖質を補うのが良いでしょう。
例えば、摂取後すぐにエネルギーになるブドウ糖を多く含むスポーツドリンクや、果物が向いています。果物はブドウ糖だけでなく果糖も多く含まれていて、ブドウ糖とは異なるルートで吸収されるため、さらに早く糖質を補うことができます。
バナナやミカンは皮をむかず、常温で保存できますが、多くの果物は皮をむいてしまうと常温で長時間置いておくのが心配です。そんな時は、ドライフルーツや果汁100%のジュースを利用すると良いでしょう。
運動後は具が肉や魚のおにぎり
運動後は、使ったグリコーゲンの補充と傷ついた筋肉の修復のために、糖質とタンパク質が混合したものを摂ることが推奨されています。糖質を摂ることでインスリンが分泌され、糖質だけでなくアミノ酸(タンパク質が分解されたもの)の吸収も促進されます。
運動後30分以内に摂取すると良いとはいわれますが、30分のみで補充できるわけではないので、1度にたくさん食べず、できるなら分けて食べるのが理想です。例えば、肉や魚の入ったおにぎり。サケ、シラス干し、ツナ、鶏そぼろのおにぎりやいなり寿司は、食べやすく持参しやすいですね。コンビニや売店が利用できるなら、ヨーグルトやプリン。パンが好きなら、菓子パンよりサンドイッチを選びましょう。
なお、夕方の部活動であれば、補食を食べてから帰宅し、主食、主菜、副菜(+乳製品、果物)のそろった夕食を食べれば十分です。運動後、できるだけ時間をあけずに食べる補食が、疲労回復のカギを握ると言えます。
【管理栄養士・今井久美】