<海藻よもやま話(8)>
最近、「低糖質」「ローカーボ」の商品を見かける機会が増えました。特に中高年のメタボ予防やダイエット方法の1つとして、糖質の摂取を控えるという意識は定着しつつあると思います。今回は、そんな糖質にまつわる海藻のお話です。
そもそも糖質って何?
「糖質=砂糖などの甘いもの」と解釈されがちですが、厳密には異なります。糖質とは「炭水化物の一部」であり、次のような式で表すことができます。
炭水化物 = 食物繊維 + 糖質
つまり、炭水化物から、食物繊維(エネルギーとして利用されない部分)を除いたものが「糖質」(エネルギーとして利用される部分)というわけです。
ただし、缶チューハイなどでよく目にする「糖類ゼロ」というのは、「糖質ゼロ」ではありません。糖質のうち、糖類にあたる「単糖類(ブドウ糖、果糖など)」及び「二糖類(ショ糖=砂糖、乳糖など)」がゼロということなので、注意が必要です。
「過不足なく」が基本
アスリートにとって、エネルギー源となる炭水化物・脂質・タンパク質の3大栄養素をバランスよく摂取することが鉄則。糖質でのエネルギー摂取は、通常50~60%が適性と言われており、過剰摂取にはリスクがあります。
(1)使い切れないと体脂肪に
糖質を摂取すると、体内でブドウ糖へと分解されます。このブドウ糖は運動によって燃焼され、エネルギーとして利用されますが、利用しきれなかったブドウ糖は、脂肪として蓄えられていきます。
(2)糖尿病や認知症の引き金に
糖質を摂取して、血液中のブドウ糖(血糖)が一気に増えると、血糖値を下げる働きをする「インスリン」というホルモンが、すい臓から分泌されます。血糖値の激しい上下が繰り返されると、すい臓に負担がかかり、糖尿病のリスクが高まります。
また、血糖値の急激な上昇「血糖値スパイク」は、糖尿病だけでなく、認知症などの引き金にもなるといわれています(参照:「食事の最初に1カップ食べるだけ『メカブファースト』で血糖値抑制」)。
野菜(特に根菜類)や果物の中にも、糖質を多く含むものがあります。また、「ブドウ糖果糖液糖」などの原材料の形で、お菓子やジュース、調味料などにも含まれています。アスリートの食事は「過不足なく」摂るのが基本。知らず知らずのうちに過剰摂取になっていたということのないように、糖質についての知識を身に付け、日頃から意識していきましょう。
ワカメ、メカブ、モズクはゼロ
ワカメ、メカブ、モズク、ヒジキ、コンブ…と、海藻はすべて低糖質。特にワカメ、メカブ、モズクは、100g中の糖質量は何と0g(※)で、糖質制限のある方にとって安心して食べることができます。
また、糖質の多い主食を控えたときに陥りがちなのが「食物繊維不足」。ご飯などの炭水化物の摂取を控えると、必然的に炭水化物中に含まれている食物繊維の摂取量も減ってしまいます。そこで、海藻のような「低糖質」かつ「食物繊維豊富」な食材を取り入れると、メタボだけでなく便秘などのトラブルも予防できます。
糖質控えめでも満腹感
特に審美系や階級制限のある競技や種目では、減量が必要なアスリートもいると思います。糖質量を必要最小限にとどめながら、満腹感も味わいたい…。そんな人におすすめしたいのが、「低糖質食材への置き換え」です。
いまや、パンや麺などの主食から調味料に至るまで「低糖質」「ローカーボ」をうたった商品が販売されています。そういった食材を上手に活用して、糖質の摂取量をコントロールしてみてはいかがでしょうか。
今回は、海藻由来の水溶性食物繊維から作った麺を使い、1食分の糖質糧を40g以下に抑えた「低糖質ポキ丼」を紹介します。
ポキ丼とは、ハワイで人気のローカルフードで、マグロやサーモン、アボカド、海藻などを使ったヘルシーな丼のこと。「低糖質ポキ丼」では、ご飯部分に糖質ゼロの海藻麺を混ぜ込んでいます。糖質量を気にせず、おなかいっぱい食べられる一品です。
糖質だけ控えても、肉や魚ばかり食べるという方法では、アスリートの減量に効果はありません。ローカロリーでビタミンやミネラルが豊富な海藻を含め、バランスを考えながら食材を選ぶことが大切です。
※ 日本食品標準成分表2015年版(七訂)調べ。ワカメ=カットわかめ、メカブ:めかぶわかめ(生)、モズク=おきなわもずくの利用可能炭水化物(単糖等量)として。
【提供=カネリョウ海藻株式会社】