オリンピックや国際大会といった世界を目指すジュニアアスリートは将来、ドーピング検査を課せられることがあるかもしれません。「特別な薬剤を使用していないから大丈夫」と思うかもしれませんが、普通に使用している治療薬やサプリメントにもドーピングの対象になる成分が入っているものもあります。

治療薬の中で、病院で処方される風邪薬、咳止めの薬、アレルギーの薬、花粉症の薬、喘息治療薬、難聴やめまいの薬、低血圧や高血圧の薬、不整脈の薬、糖尿病で使用するインスリン、抗炎症薬に、ドーピング対象成分が含まれていることもあります。また、市販薬でもアレルギー、花粉症、風邪、咳止めの薬やぬり薬、貼り薬、目薬にも含まれていることがあります。

ドーピング違反に該当する行為はアンチ・ドーピング規程(世界アンチ・ドーピング規程)に定められています。

  • 参考:世界アンチ・ドーピング機構(WADA)の禁止物質一覧(https://www.playtruejapan.org/upload_files/tpl_2019.pdf

もちろん、治療上使用しなければいけない場合は特例があります。医師に必要事項を記載してもらった書類を申請すれば、使用可能です。

より注意が必要なのは、漢方薬やサプリメント(特に海外製品)です。記載されていない成分が含まれている可能性があり、知らないうちに禁止成分を摂ってしまう可能性があります。特に、筋肉増強効果、脂肪燃焼効果、痩身効果を目的とするものは、禁止成分が含まれている可能性が高いため、使用を避けた方が良いでしょう。

成長期のアスリートに対しては、サプリメントなどの使用は安全基準が設けられていないものも多く、使用自体を推奨されていません。成人してからも、使用にはこのような点も注意が必要です。個人で安易に判断せず、使用前に医師やスポーツファーマシストらに相談し、成分を確認してもらうのも1つの手です。

  • 参考:公益社団法人東京都薬剤師会(http://www.toyaku.or.jp/health/usemedicine/nodoping_athlete.html#a04

【管理栄養士・今井久美】