サッカーの長友佑都選手は、脂質の多い食事をして脂質を利用しやすい体にするという「ファットアダプト食事法」を実践しています。以前、「ケトン食」でも書きましたが、糖質を減らして脂質の多い食事にすることで、主なエネルギー源を糖質から脂質に変えていくという方法です。
この食事法のメリットは、糖質量を抑えることで、食後に血糖値が上がり過ぎることを減らし、眠くなったり、頭がぼんやりしたりすることを防ぎ、血糖値を狭い範囲で推移させること。ただし、これは脂質をエネルギーに変えやすくするための運動などのトレーニングが必要です。また、体を作るために常にエネルギーが必要な成長期には向いていません。
脂質は、質が大切です。脂質の主成分は脂肪酸で、炭素間の二重結合の数や場所によって、大きく以下の3つに分けることができます。
●二重結合のない飽和脂肪酸
●二重結合が1つの一価不飽和脂肪酸
●二重結合が2つ以上ある多価不飽和脂肪酸
多価不飽和脂肪酸は、二重結合する場所によって、n-3系脂肪酸とn-6系脂肪酸に分かれます。
不飽和脂肪酸は、二重結合の仕方によってシス型とトランス型があります。自然界に存在するのはほとんどがシス型。一方で、その多くが工業的に作られるトランス型はトランス脂肪酸といって動脈硬化の要因になるため、制限することがすすめられています。
脂質には、脂肪酸以外にも代表的なホルモンのステロイド、緑黄色野菜などの色素成分カルテノイド、植物の精油などに含まれるテルペノイドなどがあります。脂質は、エネルギー源として働くだけでなく、体を調整する生理活性物質としての働きもあります。
次回コラムでは、どの脂肪酸をどう摂るのがいいかを説明します。
【管理栄養士・今井久美】