アスリートは筋肉増強のためにタンパク質の必要量が多く、どれくらい摂ったらいいのか、目標量の算出方法なども紹介されています。しかし、実際のところ、専属の管理栄養士がついていない限り、毎回摂取量を計算して食べるのは難しく、足りているのか心配になる人もいるでしょう。その結果、タンパク質を含む食品を多めに食べ、サプリメントをプラスすることはありませんか。
タンパク質は多すぎてもダメ
タンパク質は摂りすぎても良くなく、過剰摂取は内臓に負担をかけます。タンパク質の代謝産物であるアンモニアを処理する肝臓や、老廃物である尿素窒素を排泄する腎臓にも負担がかかります。
また、血液中の尿酸やシュウ酸が増加し、高尿値が上がり、シュウ酸がカルシウムと結合して結石(尿路結石)ができやすくなります。せっかく摂ったカルシウムも排泄されやすくなってしまいます。
便を見れば過剰かどうか分かる
タンパク質を摂りすぎたかどうか、簡単に見分ける方法があります。便を見ることです。
小腸で消化吸収されなかったタンパク質やアミノ酸は大腸に入り、悪玉菌(ウエルシュ菌など)のえさになり、悪玉菌が増えます。その結果、タンパク質の腐敗物であるインドール硫化水素、フェノール、アンモニアなどが発生し、便が臭くなったり、便秘になったりするのです。特に炭水化物の制限をして食物繊維の摂取量が少ない場合は、より便秘になりやすくなります。
ブリストルスケールでチェック
便の評価基準として「ブリストルスケール」があります。図を参考に、形状と色を見てみましょう。
(1)タイプ3~5=特に問題ないでしょう。
(2)タイプ1、2=タンパク質の過剰が疑われます。
便の回数や量が少ない場合、タンパク質の摂りすぎではなく、食物繊維が少ないことが原因かもしれません。この場合、野菜や炭水化物から摂る食物繊維の量を増やし、ヨーグルトなど乳酸菌を積極的に摂りましょう。
便の回数や量は少なくないのに、便の色が黒っぽくて臭い場合は、タンパク質の摂取量が消化吸収できる量を超え、悪玉菌優位になっている可能性が高いでしょう。1度に摂るタンパク質の量を減らし、食事回数を増やして分割食にしてみましょう。体重増加が著しい場合はエネルギーも摂りすぎなので、タンパク質の量を減らしましょう。体重の変動に問題がない場合は食事内容を見直し、糖質、タンパク質、脂質の割合を再検討しましょう。
(3)タイプ6、7=腹痛や発熱がある場合は腸炎や食中毒の可能性、強い腹痛などがない場合は脂質の過剰が疑われます。
また、ストレスなどで消化吸収力が低下している可能性もあります。
何をどれだけとり、どれだけ吸収されたか、判断するのは難しいことですが、体に入ったものと出るものを見ることは大切です。毎日の排便状況も確認していきましょう。
また、意識して摂ったタンパク質を減らさず有効活用するためには、糖質も必要量とって、グリコーゲンを貯蓄することも必要です。
【管理栄養士・今井久美】
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