家事には掃除、洗濯、料理といった「名のある家事」のほかに、タオルを取り換える、不要なチラシを捨てるなど、見えにくいけれども必要な多くの「名もなき家事」があります。ところが、新型コロナウイルスの感染拡大によって、今までにはなかった新しい「名もなき家事」が増えているようです。
大和ハウス工業が20~40代の既婚男女1200人にアンケートを実施。そのうち子どもと同居する共働きの375人に、30項目の中から実践している「名もなき家事」を選んでもらったところ、「使った道具を元の位置にきちんと片付ける」(95.7%)、「使い切ったティッシュを取り換える」(92.3%)、「食べ残しの食品を冷蔵庫にしまう」(89.9%)が高くなりました。
男女差が開いている項目をみると、「献立を考える」は男性49.7%に対して女性96.0%、「アイロン掛け」は男性47.2%に対して女性73.9%、「調味料を補充・交換」は男性71.9%に対して女性93.2%と、女性が多くありました。
反対に男性が多かったのは「照明の交換」(男性82.4%、女性58.0%)でした。
コロナ禍で生まれた「新・名もなき家事」
新型コロナによって新たな「名もなき家事」が増えたかどうかについては、全体の63.9%が「増えた」と答えました。特に女性は72.0%と7割以上が実感しています。
増えた「新・名もなき家事」は、「外から帰ったら必ず手洗い・うがいを家族に呼びかける」(36.0%)、「マスクや消毒液の残量の確認・購入」(33.8%)、「ティッシュやトイレットペーパーの残量確認・購入」(33.4%)などが上位に挙げられました。男女別では女性の方が高く、「家族の3食分の食事の献立を考える」は男性6.5%に対して女性53.0%と、女性の負担がより大きくなっています。
◆主な「新・名もなき家事」事例
「保育園に行けなくなり運動等で発散できなかった子どもの相手」(男性29歳)
「通販で物を買うことが増えたので段ボールをまとめて捨てる」(男性35歳)
「昼食などテークアウトの引き取りに行く機会が増えた」(男性46歳)
「夫がオンライン飲み会をするので、おつまみの準備」(女性25歳)
「テレワークで電話をかけたりかかってくる夫に合わせ、テレビの音をこまめに小さくする」(女性27歳)
「子どもの分散登校により、それぞれ家を出る時間が違うので管理が大変」(女性44歳)
9割が身につけ始めた新たな生活習慣
コロナ禍によって、新しい生活習慣も生まれています。新しく習慣になったことは「外から帰ったら必ず手洗い・うがい」が72.9%と7割を超えて、「日中はできるだけ窓を開けて換気」(39.4%)も4割近くに上りました。次いで「玄関にマスクや消毒・除菌ティッシュを置く」も31.4%で、全体の9割が何らかの新しい習慣を身につけています。
コロナ禍でストレスが増していますが、家族の時間や会話が増えたというポジティブな側面もあるほか、子どもの4人に3人は自発的に手洗い・うがいをしたり、食べた食器をシンクに戻したり、自発的にマスクをつけるなど、何らかの習慣を身につけています。子どもたちの習慣化が「新・名もなき家事」の負担を少しでも軽減してくれそうです。