新型コロナウイルスの感染者が世界最多の540万人を超えるアメリカでは、多くの州で公の場でのマスク着用が義務化され始めている。つい最近まで「予防効果はない」と言われてきたが、パンデミックから半年が経過した今では「他人に感染させないために着用することは有効的だ」として、着用を拒否する人に罰金を科す動きさえある。
「マスク着用」が新たな日常となり、様々な種類のマスクが出回っているが、このほどノースカロラナイ州ダーラムにある名門私立デューク大学がマスクの効果に関する実験結果をサイエンス・アドバンス誌で発表した。実験では、医療用マスクから布マスクやバンダナまで一般的な14種類のマスクを着用。特定のフレーズを5回繰り返し、そこから発散された呼吸の飛沫分量をカメラで測定し、マスクから漏れた飛沫量でマスクの効果を順位付けした。
最も効果が高いのは医療用マスク
最も予防効果が高かったのが、医療現場で使用される高機能のN95マスク。ウイルスを含んだ飛沫の侵入を防ぐことができるとされ、今回測定された飛沫の透過率もごくわずかだった。
それに次ぐ効果があるのは、医療現場や医療用に使用される特殊不織布フィルターを使用したサージカルマスク(外科用マスク)だった。
布マスクは顔にフィットするかどうか
医療用マスクの次に効果が高いのは、ポリプロピレンとコットン素材の布マスク。素材の種類によって大差はないものの、どれだけ顔にフィットしているかで違いがでる。異なる素材を2層や3層に重ねたものほど効果が高いことが分かった。
アスリートに人気があるのも、通気性が良く、洗って繰り返し使えるポリエステルやナイロン、ポリプロピレンなどの素材でできた多層構造のマスク。各スポーツメーカーは、呼吸がしやすく、快適なフィット感のスポーツマスクを販売している。
バルブ付きN95マスクはあまり効果がない
医療用マスクにバルブ(呼吸弁)がついたものは、他人に飛沫を巻き散らすとして米疾病予防管理センター(CDC)は着用を推奨しないとしており、飛行機内での着用も禁止されているが、実験でもバルブから飛沫が漏れることから布マスクよりも効果が低いと結論づけている。
ちなみに、NFLや陸上、重量挙げの一流アスリートの中には、通気性に優れた素材にバルブが着いたスポーツマスクを着用している人も多い。
次のページむしろしない方がマシなマスクは?