新型コロナウイルスの感染拡大により緊急事態宣言が発出され、「ステイホーム」が求められた春先。休園・休校によって自宅で過ごす時間が増え、遊ぶ場所や運動する機会が減少したことが、子どもたちの健康や体力に影響を及ぼすのではないかと心配されてきました。
順天堂大学の大学院スポーツ健康科学研究科と花王サニタリー研究所、パーソナルヘルスケア研究所の共同研究グループは、外出や遊びの場面において親との関わりが多い就学前の幼児(1~5才)とその保護者(母親)41組を対象に、5月1~14日の歩数計測とアンケート調査から、行動が制限された環境下での活動実態を調べました。
大人より幼児に大きな影響
1日当たりの平均歩数は幼児も保護者も減少しており、3~5歳では2~6割減でした。一方で保護者の減少率は約1~2割にとどまり、大人よりも子どもの方が、活動に対する影響を大きく受けたことがわかりました。
歩数は外出の有無にも影響されていました。外出をしないと1~2才では約3割減、3~5才では約4割減と大きな減少幅になっています。
工夫次第で活動量は増やせる
外出しなくても、保護者が幼児の活動を促す工夫をすると、幼児の歩数が増える傾向がありました。
具体的には次のような声が挙がりました。外出しづらいときに減少しがちな活動量を、少しでも取り戻すためのヒントになります。
●なるべく一緒に体を動かすことができるような動画などを見せて遊ぶ。庭で思いきり遊ばせる。階段の昇り降りで運動不足にならないように遊ばせている。
●運動不足になってほしくないため、家の中でトランポリンや室内用鉄棒で遊ばせている。時間をかけてでも家事を手伝ってもらう。洗濯ものをたたむ、お片付けなど。
●室内遊びを増やす。トランポリンを導入しました。お父さんが相手できるときは、かけっこなどを中心にやってもらいました。
●テント、庭ごはんなどをして楽しく過ごしている。家の中でかくれんぼやおいかけっこをしている。
保護者が幼児に対し、緊急事態宣言前と比べて困ったことを聞くと、活動量が減ったこと以外にもストレスを感じたり、生活リズムが崩れたりした幼児が少なくなかったことがわかりました。また、保護者自身もストレスを感じているという回答も見られました。
運動不足による健康問題は、成人・高齢者のみならず、特に心身の発育・発達が著しい幼児においても危惧されます。しかしいずれの年齢においても、工夫次第で活動量を増やせることがわかりました。
新しい生活様式の中では、自宅にいながら親同士がインターネットを介して子ども同士をつなげて遊ぶということも当たり前になるかもしれません。現状に悲観することなく、楽しく子どもの発育・発達を促す日常のしかけをみんなで考えていきましょう。