アスリートが摂りたい栄養素としてよく挙げられるのが、「タンパク質・鉄・カルシウム」です。これらを摂取するために増やしたい食材として、豆類があります。特に大豆は様々な形態で売られており、いろいろな料理に使えて便利です。さて、これらがすべて大豆製品だということ、ご存じでしたか?
大豆モヤシ
大豆を発芽させたものが大豆モヤシで、モヤシの中ではタンパク質が最も多いものです。造血に必要なビタミンKも多く含まれています。
だいたい1袋200gで一年中、安価で売られており、炒め物、汁物、あえ物など歯ごたえを生かした料理に向いています。水分が多く、加熱するとかさが減るのでたくさん食べられます。
枝豆
大豆が熟す前の実、さやが緑のうちに収穫したものが枝豆。豆も緑色のため、野菜類に分類されます。大豆同様に良質のタンパク質を含み、各種ビタミンやミネラル類も豊富です。
夏が旬で、茹でたり焼いたりして食べることが多いと思いますが、豆ごはんやずんだあえのように混ぜたり、あえたりして使うこともできます。冷凍の枝豆も売られているので、季節を問わず手軽に使えます。
大豆
枝豆が完熟したものが大豆です。乾燥したものは保存できますが、柔らかく煮るのが面倒な場合は、水煮缶や水煮パックが使いやすいですね。煮物だけでなく、あえ物、サラダ、スープや洋風の味付けにも合います。
きな粉
大豆を炒って粉にしたものがきな粉です。クッキーやケーキの具材として小麦粉の代わりに使うこともできます。
豆乳
大豆を茹でて、ろ過したものが豆乳です。大豆より食物繊維は減りますが、タンパク質は牛乳より多く含まれています。
おから
茹でた大豆から豆乳を搾った残りかすの部分が、おからです。安価で低カロリー。食物繊維が豊富で、タンパク質、カルシウム、マグネシウム、鉄、カリウムなど多くの栄養素が含まれています。
湯葉
豆乳を加熱して凝固した上澄みが湯葉です。豆乳より多くのタンパク質を含んでいます。上品な食感と味のため、汁物や薄味の煮ものに使われます。
豆腐
豆乳ににがりを入れて固めたものが豆腐です。絹ごしより木綿の方が豆乳の濃度が濃く、タンパク質、カルシウム、鉄が多く含まれています。基本的に日持ちはしませんが、保存期間の長い充填豆腐や冷凍豆腐も市販されています。
油揚げ・厚揚げ
豆腐を薄く切って揚げたのが油揚げ、木綿豆腐を高温で揚げたものが厚揚げです。揚げているので脂質も含まれていますが、タンパク質やカルシウムが豊富。汁物、煮物の具、焼いて味付けして主菜にもできます。
納豆
大豆をゆでで納豆菌によって発酵させたのが納豆で、タンパク質、カルシウムをはじめ、鉄、亜鉛などのミネラル、ビタミンKなどが含まれています。ひきわり納豆は大豆の薄皮を除いてあるため消化しやすく、離乳食にも使われます。
凍り豆腐(高野豆腐)
豆腐を凍らせて乾かしたのが凍り豆腐(高野豆腐)で、豆腐の栄養素が凝縮され、高タンパク質低脂肪の食品です。水に戻して使いますが、さまざまな大きさがあり、そのまま汁物の具として使えるものも売られています。
みそ
大豆をゆでて食塩と麹菌を入れて発酵させたものが、みそです。ビフィズス菌のエサとなるオリゴ糖も含み、おなかの調子を整える効果も期待できます。発酵が進むと色が赤黒く、塩辛いみそになります。
その他、大豆粉、テンペ、沖縄の発酵食品、豆腐ようなど、大豆の加工品は数が多く、保存できるものもたくさんあります。筋肉や骨といった体を作る栄養素のほかに、大豆イソフラボンは、女性ホルモン「エストロゲン」と似た構造と働きをすることがわかり、女性の美しさや若々しさを手助けしてくれます。
大豆製品を摂りたいけれど、何を摂ったらいいのかと迷う人は、この相関図を覚えておくといいでしょう。大豆製品を毎日の食卓に利用すると、料理の幅が広がり、栄養状態も良好に保てます。
【管理栄養士・今井久美】