白湯(さゆ)がはやっています。白湯は、沸騰させ続けた90度以上の水と定義されており、不純物を除いたものとして、お湯と区別されています。ただし、水は温度が変わっても含まれる栄養素は変わりません。
また、温かい飲み物を飲むことで体温を一時的に上げても、平常体温を上げるような効果はありません。しかし、白湯を積極的に摂ることで、冬場に不足しがちな水分を補うことは大切です。免疫力を上げることにもつながります。それでは1日のうち、どのタイミングで飲むのが効果的か、時間を追って紹介します。
寝起きに1杯
寝起き時、私たちの体はかなり脱水に近い状態になっています。冬は汗をかきにくいものの、空気が乾燥している(特に暖房をつけている)状態では、呼気から多くの水分が失われています。水分不足で血が濃くなっている状態で、布団から出て急に寒い状態になると、ヒートショックにより脳梗塞や心筋梗塞を引き起こしやすくなります。
冷たい水を飲んで体を冷やすよりは、体温より少し高めの温度の白湯を飲んで、寝ている間に下がった体温を上げつつ、水分を摂取することが効果的です。飲み物が入ることで消化管が刺激を受け、内臓も活動的になります。
毎食後に1杯
食前・食中に水分を摂りすぎると、よく噛まずに食べ物を飲み込んでしまったり、唾液や胃酸が薄まることで食欲不振や消化不良になったりすることがあります。飲むなら食後。口の中の食べ物を洗い流し、虫歯や歯周病予防のために、糖分を含まない白湯やお茶を飲むと良いでしょう。
消化を促進するため副交感神経が優位になるように、リラックスしてゆったりとした気持ちで、お気に入りのカップを使って飲むことをおすすめします。
入浴前に1杯
入浴時は汗をかいて血液が濃くなりがちなので、入浴前に飲むことをすすめます。湯船に浸かることは代謝を高め、免疫力を上げ、疲労が軽減。安らぎ物質のオキシトシンが分泌され、ストレスを緩和します。ゆったり湯船に浸かるためにも、入浴前の水分摂取が効果的です。
ここで甘い飲み物を飲んでしまうと、血糖値が上がり、体が活動モードになります。アルコールの場合、水分の排泄が進み、より脱水になりやすくなるので、カフェインを含まない白湯やほうじ茶を飲むのが良いでしょう。
寝る前に1/2杯
起床まで時間が長いため、脱水予防のために水分摂取が必要です。ただし、飲み過ぎると睡眠中にトイレに行きたくなるので、コップ半分程度にしておくと良いですね。睡眠に向けて体温は低下していきますので、体温と同じくらいか、体温より少し高めの白湯が適切です。
体の水分量は成人男性が約60%であるのに対し、成人女性は約55%、高齢者は約50%と低いため、女性や高齢者こそ、水分が不足しないようにこまめに摂取する必要があります。子どもは成人男性より体内の水分量は多いですが、腎臓の機能が未熟なため尿から排泄されやすく、脱水になりやすいので注意が必要です。
白湯を飲むときは一気ではなく、ゆっくり飲むことで吸収されやすくなります。気持ちをリラックスさせて、意識してゆっくり飲んでくださいね。
【管理栄養士・今井久美】