大阪大学キャンパスライフ健康支援センターの山本陵平准教授と同大学大学院医学系研究科腎臓内科学の猪阪善隆教授の研究グループにより、朝食あるいは夕食を食べない女性は蛋白(タンパク)尿のリスクが高いことが明らかになった。
山本准教授らの研究グループは、2005年1月~2013年3月に定期健康診断を受診した大阪大学職員1万113人を2019年3月まで追跡し、朝食・昼食・夕食の摂取頻度と蛋白尿(尿蛋白≧1+)の発症の関係を調べた。蛋白尿は、腎臓病の主要な特徴の一つであり、また将来の腎機能の予測因子。
朝食を「ほぼ毎日食べる」と回答した女性4343人と比較して、「不規則」および「ほぼ食べない」と回答した女性638人および458人の蛋白尿のリスクは、それぞれ1.35倍および1.54倍に上昇していた。夕食に関しては、「不規則」あるいは「ほぼ食べない」と回答した女性職員309人のリスクは、「ほぼ毎日食べる」と回答した女性5130人の1.31倍だった。なお、昼食の摂取頻度と蛋白尿の関係や、男性において朝食・昼食・夕食の摂取頻度と蛋白尿の関連は認められなかった。
朝食抜きは生活習慣病リスクも
朝食を食べないことは、メタボリック症候群、糖尿病、心血管系疾患などの生活習慣病のリスクだが、これまで腎臓病と関連は明らかではなかった。また、昼食および夕食の摂取頻度が、生活習慣病・腎臓病に及ぼす影響もほとんど報告されていなかった。
山本准教授らの研究グループは、「この研究結果によって、朝食と夕食を毎日しっかり食べる生活リズムを維持することが、腎臓病の予防につながる」と期待してる。
透析患者は国内で34万人も
近年増加の一途を辿る透析患者は、2018年末時点で国内では34万人であり、透析医療費は全医療費の約4%(1兆6000億円)を占める。透析患者数および透析医療費を減少させるためには、蛋白尿と腎機能の低下(糸球体濾過量の低下)で特徴づけられる慢性腎臓病の予防策を確立する必要があり、肥満・喫煙等の改善可能な生活習慣リスクを同定することが重要だ。
なお、この研究成果は、国際科学誌「Nutrients」で公開された。