冬は、汗をかく暑い時期に比べて脱水の危険性が少ないため、ついつい水分を摂ることを忘れてしまって、摂取量は少なくなりがちです。特に今冬はマスクをしている時間が長いため、水分を摂りにくい状況です。
寒い時期は、毛細血管が収縮して血圧も上がりやすいのですが、血液量も減り、濃縮されやすくなります。そんな時に起こりやすいのが、脳梗塞や心筋梗塞です。
脳梗塞は、コレステロールの高い高齢者に多いと思われていますが、ストレスの多いコロナ禍では若い人でも注意が必要です。在宅時間が長くて生活リズムが乱れている人は、特に注意しましょう。ストレスにより、コルチゾールなどのステロイドホルモンや、カテコールアミン(神経伝達物質)の分泌が盛んになり、血圧や血糖値が上がります。また、自律神経が乱れやすく、不整脈なども起こりやすいことが血栓ができる原因となり、脳梗塞や心筋梗塞が発症する可能性が高くなるのです。
30歳を境に分かれる水分摂取量の目安
その予防のためには、水分の摂取が有効です。
水分の必要量の目安は、30歳未満は「体重×40ml」、30歳以上は「体重×35ml」です。25歳、体重60kgの人なら2.4リットルになります。
2.4リットルも飲めないと思うかもしれませんが、食事から約1リットルの水分を摂っていて、さらに約300mlの水が体内で作られるので、飲料としては1.1リットルの水分を摂ればいいということです。
渇き感じにくい冬、糖質制限中は要注意
乾燥している冬は、呼気からの蒸発量が増えるのにもかかわらず、のどの渇きを感じにくいため、水分摂取が少なくなっている人も多いようです。特に、食事量が少ない人は食事由来の水分が少ないため、水分不足になっている可能性が高いですね。
また、糖質制限をして減量している人も要注意です。ご飯や麺といった炭水化物には多くの水分が含まれています。主食を減らすことで便秘になる人も多いですが、水分不足になる可能性も高いので、より水分摂取が必要になります。
水分不足か確かめる分かりやすい方法
毎日、水分が足りているか、摂取量を測ることも現実的には難しいでしょう。水分不足を評価する方法はいくつかありますが、分かりやすい方法は、尿の色を見ることです。尿の色がいつもより濃いなと感じたら、水分不足の可能性が高いでしょう。
体の3分の2は水でできています。冬場の水分不足に注意しましょう。
【管理栄養士・今井久美】