麦には小麦のほか大麦、ライ麦、オーツ麦、ハトムギなどがあります。食品として売られているものの多くは小麦加工品ですが、その他の麦も食品に使われています。今回は、小麦以外の麦について紹介しましょう。

大麦

大麦は、食物繊維が玄米の約3倍、白米の17倍と豊富で、特にβグルカンなど水溶性食物繊維が多く含まれます。ビタミンB1 、カルシウムや鉄も含まれています。加工品には、麦飯の麦、麦茶、みそ、しょうゆ、焼酎、ビール、麦こがし(はったい粉=炒って引いて粉にしたもの)などがあります。小麦と異なりグルテンを含まないので、パンなどには加工できません。吸水性が高いので、米のように炊飯して食べることもできます。

押し麦
押し麦

大麦の中にも種類があり、米と同じように「うるち性」の大麦と「もち性」の大麦があります。「もち性」の大麦のことを「もち麦」と呼び、「うるち性」の大麦をローラーなどで押しつぶしたものを「押し麦」と言います。雑穀米などに入っているのはこれらです。

麦茶は、カフェイン、タンニンを含まず乳幼児にも飲むことができます。日本では緑茶より前から普及しており、戦国時代の武将も飲んでいたそうです。独特の香りはピラジンという成分で、リラックス効果があります。

名前だけ聞くと、大麦は小麦より粒が大きいと思われていますが、実は粒のサイズはそれほど変わりません。

ライ麦

ライ麦は小麦よりも栄養価が高く、タンパク質は約1.5倍、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛などミネラルや、ビタミンB群、食物繊維も1.5倍と豊富です。

ライ麦を使ったパン(中央)
ライ麦を使ったパン(中央)

「全粒粉」のパンなどに使われていますが、小麦に比べ、ぼそぼそとした食感です。そのため、市販のライ麦パンのほとんどは小麦粉ベースで、ライ麦が添加されているもの。ライ麦は黒麦とも呼ばれており、黒っぽい色のパンの方がライ麦の割合が多くなっています。

オーツ麦

オーツ麦は大麦同様、食物繊維、ビタミンB1、鉄、カルシウムが多く、鉄は小麦の4倍、カルシウムは3倍も多く含まれています。

オートミール
オートミール

オーツ麦を脱穀し、潰して乾燥させたものがオートミールで、燕麦(えんばく)とも言われます。オートミールは現在、若い女性を中心に人気の食材です。

オーツ麦を調理しやすいように加工したものすべてがオートミールなので、潰したもの、刻んだもの、粉にしたものなど様々な種類があり、シリアルに入っていたり、菓子やパンの材料として使われたりしています。

ハトムギ

ハトムギはタンパク質が白米の約2倍あり、タンパク質代謝に必要なビタミンB6も含まれています。ハトムギに含まれる「9-ヒドロキシオクタデカン酸」という成分が脂肪代謝促進するといわれており、脂質代謝に必要なビタミンB2も豊富です。

ハトムギ
ハトムギ

ブレンド茶など使われていて、美容に良いお茶として販売されているものもあります。茹ででぜんざいやスープ、サラダにも使われます。

このように「麦」と言っても、種類や加工される食品も様々ですが、米に不足しがちな栄養素を多く含みます。上手に料理に取り入れてみましょう。

【管理栄養士・今井久美】