冬は空気が乾燥することで風邪や感染症にかかりやすくなります。予防のため、部屋の中で加湿器を利用している家庭は多いと思いますが、この加湿器が原因のアレルギー性肺炎が増えていることをご存じですか。
「薬を飲んでもなかなか咳が止まらない」といった症状がある方は室内で加湿器を使っているでしょうか。加湿して乾燥を防ぎ、感染症を予防することは大事ですが、その加湿器の手入れを怠ると体に悪影響を及ぼします。
加湿器に繁殖した細菌やカビが原因
加湿器が原因で起こる肺炎を一般的に「加湿器肺(加湿器肺炎)」といい、次のような特徴があります。
●咳が出る
●発熱している
●帰宅すると咳が出て調子が悪くなる
●処方薬(抗生物質)が効かない
加湿器には超音波式、スチーム式(加熱式)、ハイブリッド式(加熱気化式)、気化式とさまざまなタイプがありますが、そのうち気化式や超音波式ではタンクやフィルターに雑菌やカビが繁殖しやすく、そのまま使用を続けると菌がエアロゾル(細かい霧やしぶき)に混ざって放出されます。菌やカビなどを吸いこむことによって、肺でアレルギー反応をおこしてしまうのが加湿器肺です。アレルギーによる肺炎なので抗生物質を飲んでも効きません。
レジオネラ肺炎で後遺症に悩む人も
中でも、レジオネラ属菌によるものは「レジオネラ症」と呼ばれています。レジオネラ症のうち、重症の「レジオネラ肺炎」になると、全身倦怠感、頭痛、食欲不振、筋肉痛などの症状に始まり、咳や高熱、寒気、胸痛、呼吸困難が見られるようになります。適切な治療がなされない場合には急速に症状が進行し、命にかかわることもあり、後遺症に悩む人も増えています。
こまめな手入れが大切、選び方もポイント
加湿器を使用する際は、毎日水を入れ替えて容器を洗浄し、汚れやぬめりを落とすことが大切です。レジオネラ属菌は60℃5分間で殺菌されるため、水を加熱して蒸気を発生させるスチーム式の加湿器は感染源となる可能性は低いとされています。
加湿器を選ぶ際も、加湿能力、給水やお手入れのしやすさとともに、細菌やカビの繁殖しにくさもポイントになります。感染症予防のために加湿器を使ったのに、逆に体を壊してしまったということにならないように、特に小さなお子さんや高齢者、持病などによって抵抗力が落ちている人がいる家庭は注意しましょう。
また、加湿器のほか、追い炊き機能付きなどの循環式浴槽でもレジオネラ症が起こる事例も報告されています。取扱説明書にしたがって適切にお手入れし、安全に使用しましょう。
レジオネラ症の詳細は、厚生労働省のホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_00393.html
)などでもご確認ください。
【アスレシピ編集部】