「イモは太る」。そう思って、イモ類を避けている方はいませんか。
サツマイモ、ジャガイモ、サトイモなどのイモ類はおかずにもおやつにもなり、日持ちもするため保存食にも向いています。栄養面で見ると、炭水化物が多く脂質が少ないため、消化が早く、素早くエネルギーに変わります。同じく炭水化物が多い穀類のご飯やパンに比べるとエネルギーが低く、その他の栄養素も多く含まれています。
それでは具体的に、多く含まれる栄養素について見ていきましょう。
特にジャガイモに食物繊維が多い
サツマイモは食物繊維が多く、便通が良くなると言われますが、実はジャガイモの方が食物繊維を多く含んでいることをご存じですか。
・サツマイモ=2.2g
・ジャガイモ=8.9g
・サトイモ=2.3g
(100gあたり皮なし生)
サツマイモやサトイモも、玄米ご飯(100gあたり1.4g)より食物繊維が多いことは知られていません。不溶性食物繊維と水溶性食物繊維がバランスよく含まれていることも、イモ類の特徴です。
※食物繊維の1日の目標量は女性18g以上、男性21g以上(ともに18~64歳)
ビタミンCが豊富、加熱しても壊れにくい
イモ類のビタミンCは加熱しても壊れにくいため、調理してもほとんど減りません。運動する、試合などでストレスがある、日に当たる機会の多いアスリートはビタミンCの必要量が一般の人よりも多くなるので、積極的に摂るといいでしょう。
・サツマイモ=29mg
・ジャガイモ=28mg
・サトイモ=6mg
(100gあたり皮なし生)
※ビタミンCの1日の目標量は成人男女100g
カリウムが多い、不足すると足つりの原因
発汗の多いアスリートは、カリウムが不足しがちです。カリウム不足は足がつる、脱水の原因になるため、これからの季節は特に、不足しないよう注意が必要です。
・サツマイモ=480mg
・ジャガイモ=410mg
・サトイモ=640mg
(100gあたり皮なし生)
※カリウムの1日の目標量は成人男性3000mg以上、女性2600mg以上
摂りにくい鉄も含む、βカロテンも
多くはありませんが、摂りにくい鉄も含まれます。他の野菜に比べてイモ類は1食に使用する量が多いため、イモから摂れる鉄は少なくありません。
・サツマイモ=0.6mg
・ジャガイモ=0.4mg
・サトイモ=0.5mg
(100gあたり皮なし生)
また、黄色やオレンジの色味が濃い品種のサツマイモやジャガイモは、βカロテンも多く含みます。
太る原因はイモではない、調理法や油から
このように栄養価の高いイモですが、太る原因になるのは、フライドポテトや大学イモのように揚げる、バターを使ってジャガバターにする、スイートポテトなど多くの油脂を使うことでエネルギーが増えるためです。蒸す、焼く、ゆでるといった油を使わない料理法にし、砂糖やマヨネーズなどの調味料を極力減らし、素材の食感や味を生かして食べればエネルギーは高くならず、太る原因にはなりません。
アスリートが必要とする栄養素に富むイモ類。減量中こそ、主食を減らしてでもイモ類を食べて欲しいですね。
参照:日本食品標準成分表2020年版(八訂)
【管理栄養士・今井久美】
<関連コラム>
・ ジャガイモは太らない、減量期にこそ利用したい便利なお役立ち食材
・ でんぷんがビタミンCを守り、加熱で壊れにくい/ジャガイモ
・ 皮のすぐ下に便秘解消の成分、皮ごと食べるのがベスト/サツマイモ
・ 消化吸収よくエネルギー源に、生活習慣病予防にも/サトイモ