先日、某サイトの「2021年上半期食トレンド大賞」が発表され、1位は「マリトッツォ」(軽い食感のパンに、生クリームがたっぷりと入った菓子)、2位は「発酵食品」、3位は「生ジョッキ缶」…と続き、6位に「コンブチャ」が入りました。数年前から米国などでトレンドとなっているコンブチャについて、私なりに調べたことを紹介します。

「昆布茶」とは別、お茶がベースの発酵飲料

ネーミングから勝手に「昆布茶」をイメージしていたのですが、全く別の物でした。「コンブチャ」という紅茶に砂糖やオリゴ糖などを入れた液を培地として、酵母や微生物によって発酵させ、その発酵した液体を飲料とするものである発酵させた飲料で、「代謝を促進しやせる」「免疫力がアップする」「炎症を抑える」など様々な効果があると言われています。緑茶で作られたものもあります。

使う材料によって乳酸菌や酪酸菌など含まれる菌や成分は異なりますが、お茶がベースですので、テアニンやタンニンなどポリフェノールが含まれ抗酸化作用があります。また、乳酸菌などが含まれることで腸内環境を整える効果は期待できます。

「飲むだけでやせる」に疑問な理由

しかしながら、これだけで「やせる」「デトックスできる」というのは疑問です。使用する糖類の種類にもよりますが、基本的に糖類は甘さだけでなくエネルギー(カロリー)があり、コンブチャを飲むことで摂取エネルギーが増えます。

「健康食品」の安全性・有効性情報(※)にも、「もの忘れによい」「月経前症候群によい」「リウマチによい」「免疫力賦活作用がある」と言われているものの、「人においては信頼できる十分な情報が見当たらない」と記載されています。

自分で発酵は食中毒のリスク大きい

自分で発酵させてコンブチャを作っている人もいますが、自宅で発酵させるのは有害菌の増殖にもつながるので食中毒の危険が伴います。みそなどの食塩含有量の多いものや、梅ジュースなど砂糖の濃度の高いものは、有害菌の増殖しにくい環境ですが、コンブチャの糖濃度では増えて欲しくない菌も増殖しやすいと言えます。

このように、コンブチャにはメリットとデメリットがありますが、以前流行した「紅茶きのこ」はこのコンブチャと同じ成分です。あの流行が一時的であったように、コンブチャ人気がいつまで続くのだろうと冷静に見ています。

食にも流行があり、また流行も繰り返すことは興味深いですね。

※参照=「健康食品」の安全性・有効性情報(https://hfnet.nibiohn.go.jp/

【管理栄養士・今井久美】

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