日本の魅力の1つに、四季によって季節の食材を楽しめるところがあります。特に秋は食材が豊富で、栄養価の高いものも多いですね。
しかし、秋が旬の食材で「食べ合わせが悪い」と言われるものもあります。「合食禁」とされる組み合わせの理由とともに実際どうなのか、その真偽について検討します。
蟹(カニ)と柿
カニと柿は一緒に食べることで、体を冷やすと言われています。薬膳料理では、カニは体を冷やす「寒性」の食品とされており、秋が旬ではありませんが、寒い時期より暑い時期に食べた方が良い食品です。寒い時期に食べる時は、体を温めるショウガなど「熱性」の食品と一緒に食べるよう勧められています。
秋が旬の柿も体を冷やすことは知られており、食べ合わせるとさらに体が冷える可能性はありますが、食べ合わせ禁忌ではなく、少量であれば食べ合わせても問題はないでしょう。
アサリと松茸(マツタケ)
秋の味覚の代表といえば、マツタケ。アサリは産卵期の春と、旬の時期がズレていることで、保存技術が未発達だった昔は、時期外れの食材は食中毒の危険性があったことから、食べ合わせが悪いと言われていました。保存技術が進んだ現在は、食べ合わせても特に問題ないでしょう。
関東以南では秋にもアサリが産卵期を迎えます。マツタケと共に旬となって栄養価も高い上、日本人が不足しがちな食物繊維や鉄分が摂れるため、むしろ今では、良い組み合わせだと言えます。
大根と人参(ニンジン)
大根は冬、ニンジンは秋が旬ですが、ニンジンに含まれるアスコルビナーゼという酵素が、大根に含まれるビタミンCを破壊してしまうため、食べ合わせが悪いというよりは「もったいない組み合わせ」と言えます。つまり、ニンジンは大根だけではなく、ビタミンCの多い食品全般と組み合わせることが好ましくないということです。
アスコルビナーゼは熱や酸に弱いことから、ニンジンは「生よりも加熱して使う」「ピクルスなどの酢漬けにする」「食べる時に酢やレモン汁の入ったドレッシングをかける」といったことで、ビタミンCの破壊を防ぐことができます。
このように、「食べ合わせが悪い」と言われる食材も、その根拠を知れば真偽が分かり、対応策が分かれば、悪くない組み合わせにすることができます。なぜ言われるようになったのか、その理由を知ることが大切ですね。
【管理栄養士・今井久美】
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