コロナ禍における臨時休校中の小中学生の睡眠と食事の時刻パターンを分析調査したところ、起床と朝食の時刻が遅かった小中学生は、より不健康な生活習慣を送っていた傾向があったことが、東京大学の調査で明らかになった。

学校は、学齢期の子どもたちの睡眠や食習慣に大きく関わる要素の1つ。コロナ禍での長期休校は、子どもたちの睡眠や食習慣を変化させた可能性があるとして、東京大学未来ビジョン研究センターの杉本南特任研究員(研究当時)、東京大学大学院医学系研究科の村上健太郎助教、佐々木敏教授は、学校が再開された直後の2020年6月、小中学生6220人に対し、臨時休校中の睡眠や食事、運動などの生活習慣の横断調査を実施した。

起床・就寝・食事の時刻を分析したところ、特に、起床と朝食の時刻が異なる4つのパターンが見出された。時刻の順に、①6時ごろに起床し6~7時ごろに朝食の「非常に早い」は20%、②7時ごろに起床し7時ごろに朝食の「早い」は24%、③7~8時ごろに起床し8時ごろに朝食の「遅い」は30%、④8~10時ごろに起床し9~10時ごろに朝食の「非常に遅い」は26%という結果となった。

臨時休校中の睡眠および食事の時刻パターン(小中学生 6220人、東大のリリースから)
臨時休校中の睡眠および食事の時刻パターン(小中学生 6220人、東大のリリースから)

起床と朝食の時刻が早いパターンでは、学校のある平時と同様の時刻に起床し朝食をとっていると思われたが、遅いパターンでは、早いパターンと比較して、起床、朝食、昼食の時間帯が1~2時間以上遅くなっていた。

起床と朝食の時刻が遅いパターンの子どもは、早いパターンの子どもに比べて、運動量が少ない、ゲームやテレビ、パソコン等の画面を見ている時間が長い、学習時間が短い、朝食や昼食の欠食が多い傾向が見られた。

臨時休校中の睡眠および食事の時刻パターン間の比較(東大のリリースから)
臨時休校中の睡眠および食事の時刻パターン間の比較(東大のリリースから)

さらに朝食の時刻が遅いパターンの子どもは、ビタミン類、ミネラル類、野菜、果物、魚介類、乳製品の摂取量が少なく、砂糖や菓子、清涼飲料類の摂取量が多いといった不健康な生活習慣を持つリスクが高いことが示される結果となった。

臨時休校中の睡眠および食事の時刻パターン間の比較(東大のリリースから)
臨時休校中の睡眠および食事の時刻パターン間の比較(東大のリリースから)

この調査により、学校が長期にわたって休校になった際、平時より著しく遅い時刻に起床し朝食をとっている子どもは、不健康な生活習慣となるリスクが高いことが示された。今後また、感染症や災害等が原因で長期にわたって学校が休校になった際も、平時と同様の時刻に起床し、食事をとる習慣を保つことが重要である可能性が示唆される結果となった。