最近、牛乳や豆乳、ジュースなどの紙パックで、常温で長期間保存ができるものをスーパーなどでよく見かけるようになりました。ご家庭の棚の中にも1つは常備されているかもしれません。

そんなパッケージを見て

常温で大丈夫?
なんで長期保存ができるの?

と疑問に思ったことはありませんか。

この紙パックは「ロングライフ紙パック(LL紙パック)」というもので、常温で長期保存が可能な紙パックです。なぜ、そのようなことができるのか、開発・製造する日本テトラパック(株)に話を聞きました。

様々な商品でロングライフ紙パックが使われています(提供画像)
様々な商品でロングライフ紙パックが使われています(提供画像)

開発・製造の日本テトラパックに聞く

Q、なぜ常温で長期保存ができるのでしょうか

ロングライフ紙パックは中身も容器も滅菌し、無菌状態を保って製造しています。外側は紙、内側はアルミ箔をコーティングしている紙パックのため、中身の食品を劣化させる酸素の透過を防ぐとともに、光を遮断できるからです。この無菌充填技術と特殊な6層構造の紙パックによって、保存料を使わず、常温で食品の品質を長期間保ったまま、保存することができるのです。

ロングライフ紙パックを使うと常温で2~3カ月保存が可能(提供画像)
ロングライフ紙パックを使うと常温で2~3カ月保存が可能(提供画像)

Q、保存料を使っていないのですか

はい。滅菌した液体を滅菌した包装材で無菌の環境下でパック詰めするので、食品の変質の原因となる微生物が容器の中に存在しないからです。

開封前であれば、要冷蔵の牛乳が10℃以下の環境で約2~3週間しか保存できないのに対し、ロングライフ紙パックなら常温でも約2~3か月保存が可能です。豆腐なら約半年間、冷蔵庫に入れずにストックすることができます。

Q、栄養価は変わらないんですか

要冷蔵の飲食料と比べても栄養価は変わらず、おいしくいただけます。

パックの製造工程と内側、外側の構造(提供資料から)
パックの製造工程と内側、外側の構造(提供資料から)

Q、使用されている食品は、飲料だけですか

食品にも使用しています。大豆の水煮やカットトマトなど、缶詰でなく紙パックのものを見たことはありませんか。テトラ・リカルト容器といって、別名「紙の缶詰」とも呼ばれています。

高圧・高温で殺菌することで、長期常温保存が可能になりました。従来は、高圧に耐えられる缶やアルミパウチが利用されていましたが、容器素材の工夫によりレトルトできる紙パックが実現。ミシン線に沿って手でピリピリ破いて開封でき、使ったあとは小さくまとめて捨てることもできるので、ゴミを減らせるところも利点の1つです。

Q、ロングライフ紙パックを利用することの利点は

日常のちょいストックに最適です。常温保存ができるので、毎日使う食品を冷蔵庫の空きスペースを気にせず買い置きできます。必要な時に必要な分だけいつでも使えるので便利ですし、常温保存ですから通販でも注文しやすく、お買い物の労力も軽減できます。また、災害時の備蓄、保存食としても活用できますので、ローリングストックとして役立てて欲しいです。

冷蔵庫もスッキリ
ローリングストックの食材に
梅雨時期の食材準備に
インターネット通販の活用
簡単ランチのお供にも

Q、ロングライフ紙パックの見分け方は?

側面や正面に、「常温で保存できます」「常温保存可能品」などの表示が記されているので確認してみてください。スーパーなどでは常温保存可能であっても冷蔵コーナーに配置されていることもありますが、表示と賞味期限を確認してご家庭で保存してください。

ロングライフ紙パックの側面や正面には「常温保存可能品」などの表示があります(提供画像)
ロングライフ紙パックの側面や正面には「常温保存可能品」などの表示があります(提供画像)

Q、使用後は燃えるゴミとして捨ててよいですか

ロングライフ紙パックは70%以上の再生可能資源を使用しているため、使用後はリサイクルでき、トイレットペーパーなどの原料になります。お近くのスーパーや生協に回収ボックスがあれば、ぜひご利用ください。また、テトラパックの紙パックは集めた重量に応じてベルマーク点数と交換できます。回収先がない場合、燃えるゴミとして廃棄してください。

食品と環境に配慮した紙パックのおかげで、私たちは安心、安全に飲食料を口にすることができます。商品を手に取ったら紙パックにも注目してみましょう。

【アスレシピ編集部・飯田みさ代】