<イップスって何?(4)>
「イップスはメンタルだけの問題ではない」。イップス研究所の河野昭典所長(59)は断言しました。
「脳には未知の部分が多いのですが、私はイップスをこのように解釈しています。脳に大脳、小脳、脳幹があります。ごく簡単に言えば、大脳は大部分を意識が占める。小脳は大部分が無意識です。イップスは、この無意識の感覚が狂ってしまう。だから『こう投げたい』と意識しても、無意識が邪魔をして、その通りに動いてくれません」
意識と無意識に差が生じる。一生懸命に「こうやって投げよう」と意識しても、無意識に違う動きをしてしまう。そういうことか。
「そうです。この状態で反復練習をしたらどうなりますか? 悪い動きを繰り返すだけで、ますます悪化してしまいます。思うような動きができない…イップスの症状に悩んだ時、『もっと練習して克服しよう』と思ってもダメなんです。イップスは技術、練習だけでは補えません」
もう1人、イップス克服を指導するトレーニングサポート研究所の松尾明氏(48)にも、イップスについて聞きました。やはり「イップスは『心の病』ではありません。神経伝達の機能的な不具合が原因のようです。メンタルやモチベーション、根性論で治るものではありません」と言います。では、どのように治していくのでしょうか。【飯島智則】