<イップスって何?(11)>
イップス研究所の河野昭典所長(59)は、プロ、アマを問わず5000例を超えるイップスに対処し、プロ野球のソフトバンクでメンタルアドバイザーを務めた経験もあります。通称「イップス先生」です。
イップスに悩む選手に対し、どのような指導をするのでしょうか。最初に流れを説明してもらいました。
「まずカウンセリングですね。どんな状況か、原因は何かを探るため話を聞きます。心理テストもします。その後に無意識のメンタルトレーニングです。競技によっては、それを終えてから技術指導になります」
カウンセリングや心理テストによる現状把握は分かります。その後の「無意識のメンタルトレーニング」とは何でしょうか?
「簡単に言えば、脳の中のリラックスです。脳には意識と無意識の領域があります。私の声で暗示を入れて、無意識の領域をリラックスさせます。このケアを省いてキャッチボールをやっても投げられませんよ」
意識と無意識については、連載の序盤で学びました。「こう投げよう」と意識しても、無意識に別の動きをしてしまう。その差がイップスを生み出します。
しかし、いかにして無意識をリラックスさせるのか。もう少し詳しく説明してもらいましょう。【飯島智則】