減量は、長距離、器械体操、新体操、フィギュアスケートなど体重が少ない方が有利な種目や、女子選手に多い悩みです。成長期の男子選手は、増量したい(背を伸ばしたいので食事をしっかりとりたい)選手が大半ですが、中には指導者から減量を課された選手もいます。

お菓子やジュースなどほとんど食べないのに体重が増えてしまうという悩みを持っていた選手の例を紹介しましょう。

減量を指示された中2サッカー選手の例

Jリーグチームの下部組織に所属する中2のサッカー選手。中学に入ってから身長の伸びが少なくなり体重が増えてしまいました。コーチからも「ケガが心配だから体重を落とすように」と言われ、食事に気をつけているつもりですが、なかなか減りません。現在175センチ、75キロで、73キロまで落とすように言われたようです。

この選手は、幼い時から体重が増えやすい体質だったようです。「お菓子やジュースを飲む習慣はなく、独学ではあるけれど、食事バランスや量もずっと気をつけてきた」とお母さん。普段の食事写真を見たところ、中2のサッカー選手としてはむしろ全体的に量が少なめでバランスもよく、一見大きな問題はなさそうに見えました。しかし、色々ヒアリングを重ねていくと、「脂質のとり方」を知らないということが分かってきました。

「見えない油脂」を摂っていることが判明

ヒヤリングから見えてきた課題は次の通りです。

野菜をしっかり食べようと努力し、サラダはたっぷり食べているが、ドレッシングはゴマやシーザーが好き
肉の部位を見て買う習慣がない
揚げ物は食べないようにしているが、脂肪を取り除く、脂身の多い部位を選ばないなどの工夫は特にしていない
夕食を食べる時間が遅くなる(練習場から自宅への移動時間が長いため、帰宅時間が遅い)。補食は食べたり食べなかったりして、帰ってからたくさん食べてしまう

これらのことから「見えない油脂」を意図せず、たくさん摂っていることが分かりました。

エネルギー源の1つである脂質の役割

エネルギー源の1つである脂質の役割は、次のようなものがあります。

脂溶性ビタミン(ビタミンA・D・E・K)の吸収を助ける
体の機能を整えるホルモンの材料となる
肌の潤いを保つ
皮下脂肪として内臓を保護する
体を寒さから守る

その脂質の約8割を、日本人は「見えない油脂」で摂っているといわれています。

<見えない油脂>
 肉・魚・乳製品などが食品に含まれる油
 揚げ物や食材が吸う油
 菓子類・パン・加工食品に含まれる油
※乳製品の脂質を見逃す人が多い

<見える油脂>
 普段調理に使う油
 バター・サラダ油・オリーブオイルなど

素材・調理法・調味料の組み合わせ

従って、食材や加工食品の隠れた油脂を知り、コンビニなどでの補食の買い方、練習前後の食事の摂り方などに注意してもらい、余計な脂質を控えるよう伝えました。

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