今年の日本栄養士会主催の「栄養週間2022(8月1日~7日)」のテーマは「サステナブルに食べよう!」で、様々なイベントが開催されました。「自然に優しい食材を選ぶ」「地産地消を考える」「フードロスを減らす」といったことは、小中学生でも考えることができます。地元の野菜を選ぶ、食べ残しをしないといった小さなことから取り組んでもらいたいものです。
「食べ残しをしない」ためには、好き嫌いを減らすことです。しかし、前回のコラム「夏休みも朝食をしっかり食べる、おいしいみそ汁の香りで食欲がでる習慣に」で書いたように、苦手なものが多く、作ってもらった物を食べることができない選手が増えていることも感じています。
合宿や遠征は人として成長できる機会
3年ぶりに行動制限がなくなった今年の夏休みに、宿泊を伴った遠征を経験した選手もいるのではないでしょうか。遠征ではプレー面だけでなく、食べること、生活リズム、集団生活でのルール、周りを気遣う心なども学び、人としても一回り成長できる機会です。
集団での食事の場で「嫌い」「苦手」と思っていたものを食べてみたら、すんなり食べられたということもあります。例えば、苦みの強いものは本能的に「毒=危険」と幼少期は受け入れられなくても、成長とともに「味は少し苦いが安全だ」ということが分かったり、味覚が変わったりして、食べられるようになることもあるのです。
完食できない理由は「量」ではなく…
先日、私がサポートするチームも1泊2日の遠征を行いましたが、そこで出された食事を完食できない選手が多数いたのに驚きました。食べられない理由を聞いたところ、「量が多すぎる」のではなく、「嫌いなものが食べられない」という声が圧倒的でした。
嫌いな食材の上位は、「1位キノコ、2位魚、3位ナス、ニンジン、牛乳」の順。中には、「刺身や寿司は食べられるが、加熱した魚は食べられない」といった答えもありました。静岡県は魚がおいしいところで、少し前までは魚が嫌いな選手は少なかったのですが、最近は全国調査並みに増えてきているように感じています。静岡であっても、魚を食べる機会が減ってきているということですね。
無理してまで嫌いなものを食べなくてもよいとは思いますが、食べられないものが多すぎる場合は、遠征先で食べられないものが多くて困ることになります。もう少し食べられるようにアドバイスしていますが、苦手を克服するのはそう簡単ではありません。
苦手を克服するために家庭では
この3年間、合宿や遠征などの集団行動が激減し、家族以外の人から直接、食事指導を受ける機会も減ったことでしょう。家庭で好きなものだけ食べて、苦手食材に触れる機会がなければ、食の幅が広がりません。成長に従って「食べてみたら意外に食べられた」ということもあるわけで、意識的に食べてみることも必要です。
今回は、嫌いなもの調査で上位となった「魚、ナス、ニンジン」を使った「マグロのハーブソルト焼き」を紹介します。マグロに下味をつける、野菜を食べやすい大きさに切るなどの下処理を済ませれば、オーブンの中に入れるだけ。ハーブの香りがマグロのくさみを消し、振りかけたオリーブ油で食べやすくなっています。
魚も調理の仕方を工夫すれば食べられることもあります。ぜひ、お試しください。