新型コロナ、今度は変異株もあっての感染拡大です。私が指導する神奈川県のクラブチームでバレーボールをする中学生たちも、活動が制限される中でやれることを行っています。

体作りと栄養の関係をセミナーで理解

4月初旬、東京のクラブチームと合同でトレーニング講習を開催し、夜の時間帯には私がスポーツ栄養セミナーを行いました。東京の子どもたちにとっては初めて聞く「体作りと栄養」の関わりでしたが、上手になるためには、苦手なものでも食べなければならないということが、すっと頭に入ったようでした。

というのも合宿から2週間が過ぎた頃、東京のスタッフから「子どもたちから『嫌いなものも食べるようになった』という話が出てきた」ということを知らされたからです。こういう報告は本当にうれしいもの。アスリートとしての自立の一歩になったと思います。

多少苦手なものにも手を伸ばす働きかけを

子どもの嗜好は中学生、高校生あたりまでは変化し続けます。以前は嫌いだったものが、ちょっと食べてみたら「意外と大丈夫」と分かったり、自分でも「なぜ、これが食べられなかったんだろう」と感じたりすることも多いものです。また、成長のピークの時期は食べても食べてもおなかがすき、何でもおいしく感じられるという傾向もあります。

アスリートとして自立していくためには「舌が喜ぶから食べる」だけでなく、「頭で考えて食べる」こともできなければなりません。頭も心も吸収力の高い中高生のタイミングで体と食べ物の関係を理解してもらい、多少苦手だったものにも手を伸ばすよう促していきたいと思います。

数年前のことを思い出しました。ある中学校で全校生徒に食育の講演をし、半年ほどたった時のこと。その学校の栄養教諭の方と顔を合わすと「先生! あの講演会の後、子どもの残食がほとんどなくなったんです! 子どもが『俺、嫌いだったけど牛乳飲んだよ』って言ってきたりして…ありがとうございました!」と報告してくれたのです。こんな話を聞くたびに、「食べるように」という働きかけは大切だと思い直します。

「嫌い」を克服する機会を大人が作る

今は学校では「食べなさい」という指導も難しくなっています。「嫌いなものでも食べなさい」というのは必要な「指導」ですが、居残りさせてまで食べさせると「体罰」となってしまうからです。家庭で言われなければ、子どもたちはきっかけもないまま、「嫌い」を克服する機会と巡り合わないかもしれません。ぜひスポーツをきっかけに、様々な味と出会えるようになってほしいですね。

今回は「ニラと卵のしょうゆマヨあえ」を紹介します。卵とニラの組み合わせは炒め物や汁物でよく使われますが、今回はゆで卵とあえる形にしてみました。

ニラに含まれるアリシンという物質はビタミンB1の吸収を助け、練習後の疲労回復にぴったりです。春雨を加えているので、糖質アップにもなります。おなかのすいた子どもたちの練習後の疲労回復の一品としてお試しください。

管理栄養士・月野和美砂