年末年始に体調を崩した、という選手を見かけます。冬は低温で乾燥しているため、ウイルスが生存しやすい環境です。加えて、一定期間トレーニングを休んでいたことで、再開時にはいつもより筋や心肺機能への負荷がかかるため、免疫力の低下につながります。

こうしたことから、感染症にかかりやすい状態になるのです。例年なら風邪やインフルエンザ、感染性胃腸炎、今だと新型コロナウイルスの流行が続いているので、警戒する必要があります。

体調を崩した時の栄養素と食べ物

感染症にかからないためには、まずは予防が重要です。万が一、体調を崩してしまった場合は、体力の回復を重視しましょう。発熱や咳、嘔吐・下痢などの症状が治まっても、体は様々な影響を受けています。

具体的に摂った方がいい栄養素と食べ物を症状別に紹介します。

発熱・咳
発熱時は、活動によるエネルギー消費は低下していますが、エネルギー代謝が亢進します。咳をすることもまた、エネルギーを消費するので、エネルギー源である糖質やビタミンB1を中心にとりましょう。

嘔吐・下痢
水分とビタミン・ミネラルが失われてしまいます。まずは、それらがとれるスポーツドリンクやゼリー飲料から。大丈夫そうなら、フルーツジュース、野菜ジュースなどの飲料もとり、食べられそうであれば半固形状の卵豆腐や大豆製品、おじやなどの消化にいい食事をとりましょう。

脂質や繊維以外のもので胃腸を慣らす

体調を崩して一定期間、食欲が低下したり食事摂取量が減ったりすると、胃腸も「お休みモード」になってしまいます。体調を見ながら少しずつ食べて胃腸を慣らしていきましょう。脂質や食物繊維が少ない食事から、徐々に通常に近い食事に戻していくことで、栄養が吸収できる状態まで段階的に体力を回復させましょう。

アミノ酸やコラーゲンで消化や細胞修復

そんな回復期には「ボーンブロススープ」がおすすめです。ボーンブロスとは、肉や魚の骨を長時間かけて煮だしたスープのことで、骨から溶け出たアミノ酸やコラーゲンが消化や細胞修復を助け、さらには腸内環境を整える働きもあります。

今回紹介するレシピは「牛のテールスープ風」です。骨付き牛カルビを煮込んでボーンブロスを作ります。浮き出たアクや油を丁寧に取り除くことで消化にも良く、栄養補給できます。圧力鍋を使えば時短になり、食べ過ぎや胃もたれがあるときにもおすすめです。

このほか、身近なボーンブロスには、鶏ガラスープ、魚のあら汁、テールスープなどがあります。市販の顆粒粉末ではなく、骨からじっくり煮出すことがポイント。時間はかかりますが、回復期こそ時間をかけて、体を労わり体力回復を最優先させましょう。

KAGOSHIMA食×スポーツ/管理栄養士・田畑綾美