コロナ禍において、陽性者や濃厚接触者に認定されてホテルや自宅で隔離となったアスリートは少なくありません。そうなると、食事や栄養面でも大きな影響を受けることになります。

ホテル療養の場合は食事が提供されますが、それだけではアスリートに必要な栄養を十分に確保できません。自宅療養の場合は外出ができないため、自宅にある食材や出前等に頼ることになり、食品の選択肢が狭まって栄養にも大きな偏りが出ることになります。

そういった時でも困らないために、日頃から自宅にあるストック食材を使って栄養をフルに摂れるようにしておくことも大切です。体調不良や天候不良で外出できない時はもちろん、一般学生よりも多くの栄養摂取が必要なジュニアアスリートにも必要となるスキルです。

以下を参考にしながら食材をそろえ、実践できるようにしておきましょう。

エネルギー系(糖質)

運動量が減っても筋肉量が多いアスリートは、何もしなくてもエネルギーを消費します。エネルギーが不足すると筋肉の破壊・減少につながり、パフォーマンスやコンディション低下につながってしまいます。

<常温保管>
・レトルトごはん
・レトルトがゆ(食欲低下、消化不良時の対策用)
・バナナ
・エネルギーゼリー
・エネルギーバー

タンパク質系

筋肉量を維持するためには必須。それ以外にも免疫やホルモンの材料にもなるので、体調を整えるためにもタンパク質は普段と変わらずしっかりとりたい。

<冷蔵保管>(そのまま食べられる)
・卵
・納豆
・豆腐
・牛乳
・ヨーグルト

<常温保管>
・魚缶詰(サバ缶、サンマ缶など)
・魚肉ソーセージ
・豆乳(飲みきりパック)

ビタミン・ミネラル系

ウイルス感染による体内の抵抗や、そこで生じるストレスによってビタミンの消耗が多くなります。抗酸化物質をとること、また免疫力を維持するために腸内環境を整えることも重要になるので食物繊維源の確保も忘れずに。

<冷蔵・冷凍保管>(そのまま食べられる)
・レトルト総菜(ヒジキ煮物、きんぴらごぼう等)
・冷凍フルーツ(ミックスベリー、パイン等)
・ミニトマト

<常温保管>
・ミカン
・乾燥野菜(インスタント食品にトッピング)
・100%野菜ジュース(飲みきりパック)
・100%果汁ジュース(飲みきりパック)

塩分・水分

発熱があると体温を下げるために発汗量が増えます。また、空調などを効かせることで室内が乾燥し、知らない間に脱水になってしまうこともあります。こまめな水分補給はもちろん、1日1回程度は汁物を摂取することをおすすめします。

<常温保管>
・レトルトみそ汁、スープ
・スポーツドリンク
・ミネラルウオーター

このほか、「災害時用の保存食」も活用できる場合があります。賞味期限が長く、加熱などしなくてもそのまま食べることができる災害食は、いざという時のためにも購入しストックしておくのもよいですね。

今回紹介するメニューは、「炊飯器でチキンライス&オムライスにぎり」です。炊飯器にいろんな具を入れて炊けば、1品でも様々な栄養をとることができます。

チキンライスは冷めてもおいしいので、おにぎりにするのもおすすめ。右はオムライスにぎり
チキンライスは冷めてもおいしいので、おにぎりにするのもおすすめ。右はオムライスにぎり

そのまま食べてもいいですし、冷めてもおいしいのでおにぎりにして補食にするのもおすすめ。薄焼き卵でくるめば、テンションが上がる豪華なオムライスにぎりになります。

大きめの平らな器にラップを敷き、溶いた卵を薄く伸ばして200Wの電子レンジで2~3分加熱すると、薄焼き卵ができる
大きめの平らな器にラップを敷き、溶いた卵を薄く伸ばして200Wの電子レンジで2~3分加熱すると、薄焼き卵ができる

薄焼き卵の上にチキンライスを乗せ、卵でくるむようにラップごと握れば「オムライスにぎり」が完成
薄焼き卵の上にチキンライスを乗せ、卵でくるむようにラップごと握れば「オムライスにぎり」が完成

アスリートは、どんな状況においても必要な栄養をとるための食を選択し、食べる力をつけておくことが大切です。体調不良からの早期回復のためにも重要になります。この力は日々のコンディショニングや、パフォーマンスアップのためのトレーニングにも重要なスキルですので、日頃から意識していきましょう。

KAGOSHIMA食×スポーツ/管理栄養士・田畑綾美