食事における小学生の保護者の悩みとして、子どもの「好き嫌い」や「偏食」の話はよく聞きます。「好き嫌い」の理由を探っていくと、ゴーヤーやピーマンのように苦みのあるものや、ネギ、セロリ、春菊のように青臭さやクセのある香りや辛味があるものは、食べにくさを感じやすいのでしょう。これらは、大人も苦手とする人は多そうです。

それ以外の理由として、「形が嫌い」「色が嫌い」と見た目を挙げるのを聞いたときは、「それが理由!?」と驚いてしまいました(笑)。このように、子どもが食べない、嫌いとする裏には、その食材の味・見た目・色など様々な要素が絡み合っているのです。

もちろん、好き嫌いがない方が多くの食材から栄養素をとることができます。しかし、まだ小さいうちは食べられない食材があっても「他の食材をとることでその栄養素をカバーすることはできる」と考え、少しずつ食べられるものを増やしていきながら、長期的に食を育むことが大切です。

食育で育てたい「食べる力」とは

「食育」は子どもから大人にまで関するものであり、生きるために欠かせないことです。内閣府や各省庁でも取り上げられており、「食育で育てたい食べる力」として次の6項目がうたわれています。

食育で育てたい「食べる力」
1、心と身体の健康を維持できる
2、食事の重要性や楽しさを理解する
3、食べ物の選択や食事づくりができる
4、一緒に食べたい人がいる(社会性)
5、日本の食文化を理解し伝えることができる
6、食べ物やつくる人への感謝の心

中でも子どもたちが自発的に感じやすく、最初のステップとして大事なことは「食は楽しい」と感じることです。楽しく食べる中で「食の重要性」を考えるよう促すことが、子どもへの食育の第1歩ではないかと考えます。

カレーのトッピングを自分で考える

そこでおすすめするのは、ゲーム感覚で食事を楽しめる機会をつくることです。先日開催した小学生向けの食育イベントでは、「カレー」を題材に楽しみながら食を考えてもらいました。「体を大きくしたい」「体調を崩さない」といった子どもの興味をひくテーマをいくつか準備して、その目的に対して必要な栄養素がとれる食材を、子ども自身が選んでカレーにトッピングしていくというものです。

自分で選べるビュッフェ形式では、つい好き嫌いが選択基準の先に立ちますが、そこに目的の基準を設けることで、不思議と普段は見向きもしない食材も選んでいたようです。中には「嫌いだけど…」と控えめながらも、嫌いな食材をとっている子もいました。

今回の企画ではルールとして、選んだ理由を保護者に説明することもポイントに加えました。すると、子どもたちは選んだトッピングについて、照れながらも自分なりの理由でプレゼン。話し終えると誇らしげに、うれしそうに食べる様子が見られました。

楽しみながら学び、選ぶ力をつける

好き嫌いがある場合は、「形を変える」「味を変える」、そのために「調理を工夫する」ということを普段からお伝えしていますが、今回のように、子どもが目的とする、期待する効果を得るためにはどんな栄養素が必要で、それはどのような食材に含まれているかを子ども自身が知ることで、自分で選択するようになります。

子どもは良くも悪くも食環境を選べません。だからこそ、どのような環境で食を育むかが将来の食べる力に大きく関わってきます。

小学生の時期は食を楽しみ、その食材を食べてみようと思えるきっかけ作りが大切です。食べて欲しい思いから「食べなさい」と言葉で伝えるだけでなく、ゲームのような楽しい要素を取り入れて、好き嫌いを攻略するのも1つの手です。ぜひご家庭でもやってみてください。

今回紹介するのは「サツマイモのふかし芋」です。私の住む鹿児島県はサツマイモ発祥の地で、生産量は全国1位。サツマイモは様々な料理にも使えますが、シンプルにふかすだけでもおいしく食べられ、糖質がとれる間食や補食、また食物繊維源としてもおすすめです。私がおすすめする品種は、そのままでも甘味が強く、ネットリとおいしい「紅はるか」と「安納芋」です。

蒸し器がなくても簡単にふかせます。フライパンで蒸す方法、時短を優先にして電子レンジで作る方法と2種類紹介します。ホクホクかしっとりか、作り方によって味わいも変わるかもしれません。食べ比べしてみてくださいね。

KAGOSHIMA食×スポーツ/管理栄養士・田畑綾美