一般的にヴィーガン(ビーガン)、ベジタリアンなどと言うと「肉や魚を食べない人」というイメージでしょうか。近頃はスーパーやコンビニでも「大豆ミート」や「オーツミルク」など植物由来の原料を使用した商品が増えてきました。

実はトップアスリートの中にもヴィーガンの選手がいます。テニスのノバク・ジョコビッチ選手やセリーナ・ウイリアムズ選手、F1レーサーのルイス・ハミルトンさん、日本人ではアイスダンスの小松原美里選手などです。

ヴィーガンとベジタリアン

ヴィーガンとベジタリアンには次のような違いがあります。

ヴィーガン…ベジタリアンの中でも動物性食品を一切摂らない人。完全菜食主義者。
ベジタリアン…菜食主義者の総称。乳製品や卵など一部の動物性食品は食べる人も含まれる。

アスリートにとって動物性食品はとても重要です。筋肉を作るために重要な必須アミノ酸をバランスよく含み、鉄やビタミンB12など血液を作るために必要な栄養素が豊富に含まれるからです。重要な栄養源である動物性食品を制限するヴィーガン食は栄養バランスを保つことが難しいため、スポーツをする方に気軽には勧められません。しかし、学ぶべき点もあります。

植物性タンパク質の重要性

一般的にタンパク質は動物性食品に多く含まれますが、大豆をはじめとする豆類にも多くのタンパク質が含まれます。これらは動物性タンパク質・植物性タンパク質と分類されていて、市販のプロテインにも動物性食品(乳)由来のホエイプロテイン・カゼインプロテインと植物性食品(大豆)由来のソイプロテインがあります。

ホエイプロテインは吸収速度が速いため、激しいトレーニング後のリカバリーに適し、吸収速度の遅いカゼインプロテインとソイプロテインは、満腹感を持続させやすく就寝前の補給やボディメイクに適しています。

タンパク質を摂ろうと思うと、ついつい肉や魚に頼りがちになりますが、実は動物性タンパク質と植物性タンパク質の摂取比率は「1:1が理想的」とも言われます。タンパク質を効率よく摂ろうとするあまり動物性食品に偏りやすいアスリートは、意識して植物性タンパク質を豊富に含む豆類を摂りたいですね。植物性タンパク質の摂取量が多いと、心疾患のリスクが低減されるという研究結果もあります。

今回紹介するレシピは「高野豆腐の肉そぼろ風」です。高野豆腐を水で戻して水けをきった後、細かく刻み、ひき肉で作るそぼろ同様の味を付け、煮詰めたものです。

高野豆腐の肉そぼろ風と炒り卵、青菜で作った3色丼
高野豆腐の肉そぼろ風と炒り卵、青菜で作った3色丼

一般的にひき肉のそぼろで作る「3色丼」を、「高野豆腐の肉そぼろ風」を使って炒り卵と青菜を合わせると、卵と高野豆腐で動物性タンパク質と植物性タンパク質の両方がバランスよく摂れますね。物足りないという方は、鶏ミンチを3割程度混ぜるとよりお肉のミンチに近づき、ボリュームも出ます。だまされたと思ってぜひ一度作ってみてくださいね。

KAGOSHIMA食×スポーツ/管理栄養士・川口郁子