急性白血病から復帰したJ2新潟DF早川史哉(25)が9日、母校・小針中で「語る会」を開いた。全校生徒831人と保護者らの前で「夢の実現~後輩たちへのメッセージ~」と題して、質問形式で話を進めた。

長い闘病生活を経て、5日のホーム鹿児島戦で1287日ぶりに公式戦に出場。後輩の熱い視線を受けた早川は、覚悟を持って戦う思いを新たにした。

母校・小針中で講演するDF早川
母校・小針中で講演するDF早川

新潟のユニホームに身を包んだ早川は、講演を行った体育館に懐かしさを感じていた。生徒玄関にある靴箱にバレンタインチョコレートが入っていた淡い思い出も、よみがえってきた。そんな母校で後輩に行った講演には、苦しくつらい闘病から復帰までの過程で得たメッセージが詰まっていた。「1歩1歩、やらなければならないことをやり続けた先には、いろいろな物を手にするチャンスが転がっている」。急性白血病から復帰した不屈のDFが、後輩たちに一番伝えたいことだった。

入院生活で一番食べたかったもの

大卒ルーキーだった16年4月に急性白血病を発症した。抗がん剤治療を経て、同年11月に骨髄移植手術を施し、長い闘病生活に入った。「思うように動けない。疲れやすい。原因が分からず不安だったが、病名が分かってホッとした」と話したが、つらかった時期も後輩らに明かした。「頭髪が2度、全部抜け落ちてショックで泣いた」。約1年の入院生活で一番食べたかったものは「納豆卵かけご飯だった」と言う。

講演前に行った練習で汗を流す早川
講演前に行った練習で汗を流す早川

5日の前節ホーム鹿児島戦で約3年7カ月ぶりにピッチに帰ってきた。闘病生活中に「絶対に戻る」と思い浮かべ、励みにしてきたデンカSのピッチだった。「特別な1日。先につながる大きな1歩だった」と振り返ったが、復帰を喜んでばかりはいない。「言い訳が通用しない、厳しい世界に戻ってきた。覚悟を持って戦っていく」。次節以降へ。早川は母校で腹をくくった。【涌井幹雄】

(2019年10月9日、ニッカンスポーツ・コム掲載)