<打者編:野球写真の撮り方(2)>

秋のスポーツシーズン到来! わが子の勇姿をかっこよく撮りたい。でも、なかなかうまく撮れない。こんな悩みをお持ちの保護者の方は意外と多いはず。そこで、プロ野球をはじめ、野球の撮影経験豊富な筆者が、撮影のコツを「投手編」「打者編」「集合写真、プレー編」の3回にわたって教えます。第2回は「打者編」です。

◆バッターがボールを打つ(インパクト)瞬間を撮るには

バットがボールをとらえる瞬間を狙うには、投手の場合と同じように、打者の動きに自分の気持ちを重ね合わせ、自分が打つつもりで撮りましょう。ただ、ボールが来てからシャッターを切るのでは遅いので、バッターがバットを引く(テークバック)動作を始めた時に連写してください。なお、この瞬間を狙うには、ボール球を見送る時など、写真の無駄打ちが多くなります。しかし、インパクトを鮮やかにとらえるためには“それも必要”と考えて、粘り強く撮影してください。そして、この場合は右バッターは一塁側、左バッターは三塁側から撮影してください。

インパクトの瞬間。バッターがテークバックしたら連写してください
インパクトの瞬間。バッターがテークバックしたら連写してください

◆バットが手を離れる瞬間を狙う

バッターの撮影では、インパクトとこれが、もっとも絵になる(かっこいい)場面だと思います。でも、撮影のコツは簡単。とにかく連写することです。この場合は原則、右バッターは三塁側、左バッターは一塁側から撮影しますが、特に左バッターの場合、それがタイムリーや逆転打で一塁に向かっていく時に、ベンチに向かってガッツポーズやバンザイなど、歓喜の表情をとらえることができるので、AIサーボで追尾しながら連写しまくってください。多く撮れば撮るほど、ベストショットの確率も高まります。

左バッターは一塁側からの撮影がセオリーだが、三塁からの撮影でもこんな写真が撮れる
左バッターは一塁側からの撮影がセオリーだが、三塁からの撮影でもこんな写真が撮れる

◆打つところだけがすべてではない

バッターには、イチローのように打席に入ってからバットを構えるまでの独特の動き(ルーティン)が絵になる場合もあるので、バッターボックスに入ってからの動きやクセ、しぐさを観察してください。また、引っ張る、流し打ち、どちらが得意なのかを把握しているだけで、撮影位置も変わります。さらに、打った後にバットを高々と上げるといった特徴を知っていれば、バットが画角から切れてしまう横位置での撮影ではなく、縦位置で構えてバットをきれいに入れるなどの準備もできます。

あまりにも有名なイチローのルーティン。選手の動きやクセの観察がいい写真の第1歩だ
あまりにも有名なイチローのルーティン。選手の動きやクセの観察がいい写真の第1歩だ

◆バットをぶらして躍動感を表現する

バットをぶらすと躍動感が増すことがおわかりかと思います。この場合は、露出はマニュアルで撮影。絞りは、バッターを浮き上がらせるために開放(一番小さい絞り値)にし、シャッター速度は、一部だけぶらして躍動感を得たいので500分の1秒前後になるようにします。ファインダーをのぞいて半押しにすると、シャッター速度がどれくらいになるか表示されますので、早すぎる場合はISO感度を下げて調整してください。【浦部歩】

シャッタースピードを落としてバットをぶらすと躍動感が出る
シャッタースピードを落としてバットをぶらすと躍動感が出る