球団史上初の世界一に輝いたナショナルズは今季、宇宙飛行士式の睡眠法を導入してポストシーズンで最高のパフォーマンスを実現したという。
宇宙飛行士は飛行中、24時間の間に16回も日の出を見ることもあるため、遮光と睡眠時間の管理が非常に大事になる。それぞれの宇宙飛行士が、出発前から詳細な計画に基づいて睡眠を取り、飛行中も終始、その睡眠スケジュールを維持している。
最近は多くのMLB球団が専門家の指導を受けるなどして、選手の「睡眠質向上」に目を向け始めているが、ナショナルズも今季、春季キャンプから専門家の指導の下、各選手の睡眠計画を作成し、プラン通りの睡眠を奨励してきた。
レギュラーシーズン中は2週間ごとに選手個別に睡眠計画を組んで渡し、ポストシーズン中はそれを3~4日ごとに変更。デーゲームの試合後は、その日のうちに移動するのがメジャーでは通例だが、ポストシーズン中のナショナルズは十分な睡眠確保のためデーゲーム後の移動も余分に1泊し、翌日行うよう改めた。
シリーズを突破するごとにシャンパンフアイトの祝勝会が行われるため、寝不足に陥る日があるが、そんなときは事前に十分な睡眠を取るよう時間を管理。抑え左腕ドゥーリトルは、祝勝会で遅くまで飲んだ翌朝は午前11時まで寝て、いったん起きて散歩と軽い朝食を食べると、また夕方5時半まで寝るという独特な睡眠計画を実践していたそうだ。明かりが睡眠の妨げになるため、オレンジ色のサングラスを装着する睡眠法も採用していたと、米ヤフースポーツなどの記事に書かれていた。
そんな話を読んでいたときにタイミング良く、ドジャース前田健太投手(31)が睡眠の質を高めるための画期的な健康グッズの新製品発表会にゲスト参加するというので行ってきた。
フィリップス・ジャパンが開発した「スマートスリープ」というヘッドバンドだった。前田は選手ならではの睡眠の悩みを抱えており「夜7時から試合が始まり、帰宅するのが夜11時。そこから食事を取ったりするのでどうしても睡眠時間が削られることが多いので、日によって時間がばらばらで、睡眠の質もバラバラ。登板後はアドレナリンが出て眠れないです」という。
前田だけでなく、周りの選手もやはり悩みは同じらしく「アルコール取る選手も多いですし、試合後、興奮して眠れない選手もたくさんいると思う」とも明かした。これだけ選手が苦労しているとなると、各球団が選手の睡眠の質向上に必死になるのも納得。前田は「質の高い睡眠を取ることによってケガの防止につながり、現役生活が長くなることもあると思うので、そこはしっかり意識して取り組んでいきたい」と真剣だった。
(2019年11月7日、ニッカンスポーツ・コム掲載)