<ラグビー流 Education(10)>
5大会連続18度目のラグビー全国選手権出場を決めた名門・桐蔭学園(神奈川)を率いる藤原秀之監督(51)は、前回の「目標の設定」というテーマを受けて、各自が目標を具体的に考える中で、コミュニケーション能力の成長もみられたと話します。
キーワードを順序だてて話す
前回お伝えしたように、桐蔭学園ラグビー部では各自が最高目標と最低目標をノートに書き、自己採点するという習慣を日常化させています。この取り組みで、プレー以外にも変化が表れたという。
藤原 コメント力が変わりました。卒部式の時(のスピーチなどで)、いいこと言うなあ、こんなこと言うんだ、と…(笑い)
自分で考え、書いているうちにボキャブラリーや表現力も成長した。コミュニケーション能力を含め、生きていく上で大切なものも育んでいた。ミーティングでも「カンペ禁止」。
藤原 まとめたメモ(カンペ)は禁止。頭の中に入っているキーワードを順序だてて話せばいいでしょ、って。なんとなく話すのもNGですね。「しっかり」とか「正確に」という言葉には、「『しっかり』ってどういうことですか?」と質問が飛びます。
抽象的な言葉や決まり文句にはツッコミが入る。
藤原 「しっかり」の意味は人それぞれでいい。例えばプレーの動作なら、肩の向きや手の位置など具体的に示すように。
わかりやすさ、伝えやすさ、いわゆるコミュニケーション能力は生活全般、大人になっても大切になる。
◆藤原秀之(ふじわら・ひでゆき)1968年(昭43)東京生まれ。大東大第一高でラグビーを始め、85年度全国選手権でWTBとして優勝。日体大に進む。卒業後の90年に桐蔭学園高で保健体育の教員、ラグビー部のコーチとなり、02年から監督。同部は本年度で5大会連続18度目の全国選手権出場に。決勝進出6回、10年度優勝時のメンバーに日本代表の松島幸太朗ら。今や「東の横綱」と呼ばれている。
(2019年12月1日、ニッカンスポーツ・コム掲載)