異業種トレーニングで目指すは新人王だ! 広島山口翔投手(20)が19日、瞬発力を高める目的でボクシングを取り入れたことを明かした。

昨季高卒2年目ながらプロ初勝利を挙げた右腕は、佐々岡真司監督(52)から今季の開幕ローテーション候補の1人に挙げられている。新成人の誓いとして「最低5勝」&「新人王」を目標に掲げた。

広島山口翔(2019年6月13日撮影)
広島山口翔(2019年6月13日撮影)

山口が野球グラブをボクシンググローブに持ち替えた。「めっちゃきついです。ボクサーはすげーな…って。肺もきついですし、腕も足も、全身にきますね」。薮田、中村祐らに誘われ、年明けから広島市内のトレーニング施設に週3日のペースで通う。1日に3、4時間、ひたすらに速く、鋭いパンチを繰り返している。

目的は瞬発力の向上だ。これまでは投球動作の途中に力んでしまう影響で、リリース時に力を出すことができていなかったという。瞬発系のウエートトレーニングにボクシングを加え、課題克服に努めた。「だいぶいいですね。確率はまだ低いですけど、力感なく、投げる瞬間だけピュッと力が出せるようになった。キャッチボールしただけでも違う部分があった」と手応えを口にした。

昨年5月30日にプロ初先発したヤクルト戦(神宮)では、7回1安打無失点で会心のプロ初勝利を挙げた。その後5試合で先発を務めたが、2勝目を手にすることはできなかった。「もっと真っすぐを極めたい」。食事の量も増え、昨季75キロだった体重も、現在は84キロまで増量。最速151キロの右腕は「まずは155キロ。いずれ160キロは投げたい」と大台突破を目標に掲げた。

高卒3年目ながら、佐々岡監督からの期待も高く、開幕ローテーション候補の1人に挙げられている。新成人として迎える今季の目標について、「最低5勝はしたい。まだ新人王の権利があるので、新人王を取りたい」と力強く宣言した。

昨季は同郷の熊本出身で、同学年のヤクルト村上が新人王を獲得した。「村上に先に取られたので…」とライバルの名を自ら発し、闘志を燃やす。昨年8月22日ヤクルト戦(マツダスタジアム)では1発を浴びただけに、「真っすぐでリベンジですね」と目をギラつかせた。ボクシングで磨きをかけた直球で、雪辱を期す。【古財稜明】

<異種目トレアラカルト>
◆水泳 広島鈴木誠は19年オフにソフトバンク内川らとの合同自主トレで、ロンドンオリンピック(五輪)女子背泳ぎ銅メダルの寺川綾氏指導の下、水中トレーニングを実施。
◆相撲 オリックスK-鈴木は武蔵川親方から直々に四股を伝授された。ロッテも14年、玉ノ井親方を浦和球場に招き、四股の踏み方などを教わった。
◆陸上 ソフトバンク内川は13年オフに陸上の福島千里氏らと合同練習。走塁への意識改革につなげた。
◆バスケットボール ソフトバンク今宮は13年オフの自主トレにバスケットボールを導入。体力と敏しょう性の向上につなげた。
◆アーチェリー ソフトバンク和田は07年、肩甲骨の使い方や集中力を養った。
◆競輪 ヤクルト山中は18年オフ、高校の同期で競輪選手の松岡孝高の指導を受けた。

(2020年1月20日、ニッカンスポーツ・コム掲載)