人の力で夢を実現する。マーリンズとマイナー契約した加藤豪将内野手(25)が、招待選手として参加するメジャーキャンプを前に、意気込みを明かした。

ヤンキース時代に松井秀喜氏(現ヤ軍特別アドバイザー)やイチロー氏(現マリナーズ球団会長付特別補佐兼インストラクター)らと出会い、デレク・ジーター氏(現マーリンズCEO)からも指導を受けた。ヤ軍にドラフト2巡目指名されてから8年目。縁をつなぎ、悲願のメジャー昇格を目指す。【取材・構成=斎藤庸裕】

風船を膨らましながらトレーニングをするマーリンズ加藤(撮影・菅敏)
風船を膨らましながらトレーニングをするマーリンズ加藤(撮影・菅敏)

カリフォルニア州サンディエゴの自主トレ施設に現れた加藤は、赤い風船を持ってニヤリと笑った。「いろいろ面白いことやるので、見ててくださいね」。近年、米国で流行の最新機器やマシンは見当たらない。小さなスペースで、はだしと素手で動き始めた。さまざまな体勢から3段階の大きさに風船を膨らませ、横隔膜を意識して体幹を強化。テニスボールをキャッチする訓練では、視覚の異なる特殊なメガネを着用。他にも雲梯やほふく前進など、30種類ほどのメニューをこなした。

キャンプに向けトレーニングをするマーリンズ加藤(撮影・菅敏)
キャンプに向けトレーニングをするマーリンズ加藤(撮影・菅敏)

16年オフから「体の使い方を覚えたい」と始めたトレーニング。知人を介してアスレチックトレーナーの川尻隆氏と出会い、指導を受けてきた。機械に頼らない鍛錬は「脳が体をコントロールするレベルを上げることが目的」(川尻氏)。体全体を脳で理解した上で、機能を改善していく「動作学」を基礎としている。

キャンプに向けてトレーニングをするマーリンズ加藤の手のひらには、数えきれないほどのマメがあった(撮影・菅敏)
キャンプに向けてトレーニングをするマーリンズ加藤の手のひらには、数えきれないほどのマメがあった(撮影・菅敏)

データ測定や解析を行うトレーニング施設「ドライブライン」など、パフォーマンスの数値化で技術向上を図る方法とは一線を画す。川尻氏は「人間はロボットではないので。こうしましょうと言われても脳がそれをやるプログラムがないと、なかなかできないし、やらない。体全体を捉えた方が本質的な変化が出る」。加藤はトレーニングでも、人の力を最大限に生かそうとしている。

(2020年2月18日、ニッカンスポーツ・コム掲載)