高校球児たちの思いも背負う。阪神藤川球児投手(39)が5日、4月15日の自主練習再開後チームで初めて甲子園のマウンドで投球練習を行った。

坂本を相手に変化球を交えて約30球。「この甲子園の土を踏むことができなかった子たちもいる。そういう意味でも、真剣に集中して1球1球大事に投げることができた」。球団広報を通じて今春のセンバツが中止になった球児たちを思いやるコメントを出した。

阪神球団公式ユーチューブで子どもたちへメッセージを送る藤川球児(撮影・加藤哉)
阪神球団公式ユーチューブで子どもたちへメッセージを送る藤川球児(撮影・加藤哉)

藤川も高知商2年時に夏の甲子園に出場しただけに、夢散った球児たちの無念さは痛いほど分かる。「甲子園球場を使わせてもらっていることに感謝して練習させてもらっています」。自身も3月7日の日本ハムとのオープン戦以来約2カ月ぶりとなる聖地のマウンド。思いを込めて腕を振った。

この日は選手たちが、球団公式インスタグラムで募集した子どもたちからの質問に対して同YouTubeチャンネルで回答し、藤川も動画に登場した。

Q 今、球速90キロです。どうすればスピードが上がりますか(10歳・女の子)

A まだまだ体の関節というのは可動域が大きい。関節は段々年齢とともにしっかりしてくる。その時にどんどんスピードが上がってくる。今はトレーニングよりボールを強く投げるために遠くに投げる練習とかを繰り返していけば、自然とボールは速くなると思います。

身ぶり手ぶりレクチャーし、最後はコロナ禍の中でこどもの日を迎えたキッズたちに「一緒に頑張っていきましょう」と呼び掛けた。

阪神球団公式ユーチューブで子どもたちの質問に答える藤川(撮影・加藤哉)
阪神球団公式ユーチューブで子どもたちの質問に答える藤川(撮影・加藤哉)

「シーズンが始まった時に素晴らしいものを見せられるように、今自分でできることをしっかりやる。みなさんが元気が出るようなプレーをできるように努力している最中です」。子どもたちに夢を与えるために、藤川は準備のネジを緩めない。【只松憲】

(2020年5月5日、ニッカンスポーツ・コム掲載)