ウイルスや細菌などから身を守る抵抗力(免疫力)をつけるためには、十分な睡眠をとることも大切だ。睡眠は、仕事やスポーツのパフォーマンスを向上させる効果や、脳を活性化して体の回復を促すという研究結果も発表されており、世界の一流アスリートも普段からたっぷり睡眠時間を確保している。その時間は、なんと10時間がベースのようだ。
ブレイディは9時間、フェデラーは12時間
NFLの史上最高QBとして42歳でも現役を続けるトム・ブレイディ(タンパベイ・バッカニアーズ)は、午後9時に寝て午前5時半頃に起床する規則正しい生活。「運動で分解された筋肉は、睡眠をとることでしか回復ができない」として、8時間半~9時間の睡眠をとる。
テニス界のスター、ロジャー・フェデラーは「コートで戦うエネルギーを得るには、11~12時間の睡眠は必要不可欠」と1日の半分、12時間の睡眠を欠かさない。毎日8時間の睡眠を心がけるNBAのケビン・デュラント(ブルックリン・ネッツ)は、「より技術を向上させるために日々の練習で自分自身を追い込んでいるが、そのためのエネルギーを維持するには睡眠が重要な鍵となる」と話し、女子プロゴルファーのミシェル・ウィーも「10時間以下の睡眠では体の調子が悪いと感じる」と語っている。
長時間睡眠が必要な理由は
さらに、元ショートトラック米国代表のアポロ・アントン・オーノやアルペンスキーの元女王リンゼイ・ボンら五輪メダリストたちも睡眠の重要性を訴えている。しかし、なぜそこまで長時間の睡眠が必要なのだろうか。
ロケット科学者が設計した米マットレス会社、パープルマットレスの公式サイトでは、睡眠がアスリートの脳と体にどのような影響を及ぼすかを解説している。「脳は寝ている間に、その日起きた出来事や新たに取得した技術を記録する。そして体は休むことで代謝を高めて分解された筋肉を修復し、免疫機能を高める作用が働く。その結果、睡眠時間が短くなると脳の認知機能は衰え、疲れが抜けきれずに集中力や瞬発力が欠如し、8時間以上の睡眠に比べて故障する可能性も高くなるという」。
良質な睡眠のための環境作りも大切
同サイトは、小学生は9~11時間、中高校生は8~10時間、18歳以上なら7~9時間の睡眠時間を心がけると十分に効果が得られると伝えている。また、早寝早起きで規則正しい生活を心がけ、就寝30分前にはテレビや携帯電話の使用を止めて、寝室の室温を低めに設定するなど、良質な睡眠をとるための環境作りも大切だ。
これまで朝練、学校の授業に加えて塾や部活、クラブチームの練習と忙しく過ごしてきたジュニアアスリート。休校が続き、自主練習が続く今なら、睡眠時間も確保できるはずだ。トップアスリートを見習って、体のコンディション調整を実践してみてはどうだろうか。
【ロサンゼルス=千歳香奈子通信員】