リオデジャネイロ五輪柔道男子73キロ級金メダリストの大野将平(28)が29日、全国から募集した小学5、6年生10人を対象にしたオンライン教室を開催した。同五輪男子81キロ級銅メダリストの永瀬貴規(26=ともに旭化成)とともに、トレーニング方法や質疑応答を行った。
緊急事態宣言は解除されたが、柔道の練習は段階的練習計画が全日本柔道連盟より通達されている。現在は段階1で、相手と組み合う練習ができない。その環境でできる鉄棒と道着を使ったトレーニングや、技の練習なども動画付きで紹介された。大野は得意技の内股の練習方法で2パターンを用意。「2通りやると内股のバリエーションにもつながる」と力説した。
子供たちからの質問では、「大野選手を倒して王者になりたい。それまで続けていてほしい」という懇願も。純粋な挑戦状に、大野は「僕は28なのですが、大人になるまで現役で頑張ろうと思います。でも、絶対に負けません」と、粋な返答を送った。内股を詳しく知りたいという要望には「企業秘密です」とニヤリ。その意図を「教わるより研究してかけたほうが自分の技になる。答えばかりを気にしないで」と説いた。
永瀬には「試合で緊張しないにはどうしたいいか?」という質問。「私も緊張する。試合前は心臓がバクバクしている。試合はそれくらい自分が本気という証拠。自分はそれくらいかけているんだと。いままでやってきたことを信じて」と助言した。
1時間の“稽古”の最後。大野は「柔道はスポーツでもあり、武道でもある。試合に勝つことが最終目標ではない。成長する、人間力を高めるのが素晴らしい部分。そこをみんなに学んでほしい。いまはつらく苦しい時期です。それは私たちも一緒です。しかし、道の途中で、終わりはない。極めて社会に必要とされる人間になってほしい。次は畳の上で汗を流しましょう。僕も永瀬選手も1日でも長く現役を続けたい」と言葉を送った。
(2020年5月29日、ニッカンスポーツ・コム掲載)