柔道の総本山である講道館は1日、新型コロナウイルスによる緊急事態宣言の解除を受け、東京・文京区の道場で稽古を再開した。
約3カ月ぶりの稽古は、人数制限した2部構成で実施。参加者の小中学生約100人は「健康観察カード」を記入後、検温して畳上に上がった。全員がマスク着用を義務付けられ、相手と2メートル以上離れた単独練習を約1時間行った。ジャージー姿で、基礎トレーニングや受け身、1人打ち込みなどで汗を流した。さらに、稽古中の飛沫(ひまつ)感染防止を考慮して“声出し厳禁”の異様な光景も見られた。全日本柔道連盟が定めた指針の「1人当たり畳4枚分エリア」の隅々には、立ち位置を示す赤テープが貼られる徹底ぶりだった。
観客席では児童の保護者らも見学。時折、講道館職員が周囲を見渡し、保護者間の距離が近いと「3密です! もう少し離れてください」などと注意を呼び掛けた。
76年モントリオール五輪男子無差別級金メダルで、講道館の上村春樹館長(69)は「ここでホッとせず、今日が始まりだと考えている。これまで以上に気を引き締めないといけない」と緊張感を保ちつつ、「畳上で動いている子供たちの姿を3カ月ぶりに見られて本当にうれしい。改めて元気が一番だと思ったし、子供たちには柔道を通じて、コロナに立ち向かう『強い体と強い心』を身に付けてほしい」と願っていた。【峯岸佑樹】
(2020年6月2日、ニッカンスポーツ・コム掲載)