いまや生活必需品となったマスク。感染防止対策としてだけでなく、アスリートへの「応援グッズ」としての手作りマスクが話題となっている。

布マスク工房「Gallery shop えむ」

大阪市の繊維機械会社、圓井(まるい)繊維機械が運営する布マスク工房「Gallery shop えむ」。インスタグラムには、主にラグビーのユニフォームをイメージした色とりどりのマスクの投稿が並ぶ。ほとんどがチームの保護者、関係者からの受注品。縫製担当の圓井裕子さんは「オリジナルマスクは、ご注文くださる方々にとっての御守り。声を出して応援できない今だからこその、選手へのエールだと思います」と1つずつ丁寧に作り続けている。

上段左がマスク第1号の常翔学園バージョン。同右が第2号の同大バージョン(提供写真)
上段左がマスク第1号の常翔学園バージョン。同右が第2号の同大バージョン(提供写真)

本社は繊維関連機器の製造メーカーで、マスク作りが専門ではないが、春先、コロナ禍でマスクやゴム紐が不足した際に、工場の編み機で耳が痛くならない耳ゴム紐が出来たことで、マスク作りを始めた。「手作りマスクで少しでも社会貢献が出来れば。チームカラーのお揃いのマスクで“ONE TEAM”の一体感を取り戻して欲しい」という思いから、オーダーチームマスクを作るようになった。

第1号は元ラガーマンの次男による偶然の産物

手作りマスク第1号は、明治大学でラグビーを続けた次男文也さんが偶然作り出した。紺色の布地に赤色のラインという母校常翔学園のチームカラーで作ったところ、「まさに母校の短パンの色柄で仕上がったんです」としてインスタグラムに投稿。大きな反響を呼んだ。

続いて文也さんは、兄仁志さんと弟陽介さんの母校、同志社大学のイメージカラー、紺色とグレーのマスクを作成。「これもチームカラーそのまんまの出来栄えとなり、家族全員で驚きました」と、それぞれがSNSを通して画像を発信したところ、ラグビーファンの間に一気に広まった。

インスタで拡散、応援グッズやお守りに

他校の保護者から「自分の子どものチームにも寄付したい」との依頼が殺到し、明大をはじめとする大学の人気チームや、トヨタなどのトップリーグのファンからも「応援グッズ」や「お守り」として注文が相次いだ。

明大の紫紺のユニフォームをベースに作ったマスク(上段左)をはじめ、多くのチームマスクの注文が相次いだ(提供写真)
明大の紫紺のユニフォームをベースに作ったマスク(上段左)をはじめ、多くのチームマスクの注文が相次いだ(提供写真)

「中には、母校のチームカラーのマスクを、当時若くして亡くなられた同窓生のご両親へ贈ります、という方もいらっしゃいました」。ユニフォームの色を見ると、自然と一体感が生まれ、元気や勇気が沸いてくる。「今皆さんが求めているもの、欲しているものはこの一体感。コロナに負けてたまるか! という気持ち、元気出そうよ! という願いなんだと実感しています」。

デザインのやり取りは、すべてインスタグラムのDMを通じて。ユニフォーム画像を送信してもらい、ネット画像を確認しながら生地を探し、作業途中の画像を送っては確認してもらう。手間をかけての作業となるが、夫の良さんもラグビー経験者であり、息子3人も大学までラグビーを続けたラグビー一家の母である裕子さん。「1枚ずつ、選手の皆さんがケガしないように、体を大切にしてね、という思いを注ぎながら仕上げています」と目を細める。

トヨタ自動車ヴェルブリッツ(上段左)の人気も高く、背番号入りのマスク注文も多数寄せられた(提供写真)
トヨタ自動車ヴェルブリッツ(上段左)の人気も高く、背番号入りのマスク注文も多数寄せられた(提供写真)

花園出場チームも着用して大会へ

全国高校ラグビー出場校が次々と決まった11月下旬、裕子さんはインスタグラムにこう記した。

「私達が作製したマスクを着用される高校ラガーマンと監督さん。マスクを通じて皆様の夢に携わらせていただいたこと、大変嬉しく思います。貴重な経験をさせていただき、本当にありがとうございました。花園で大活躍してください!!」

コロナ禍で活動が制限された今シーズン。100回記念大会となる全国高校ラグビー選手権は無観客で開催されることになった。例年と違う風景にはなるが、花園には、選手はもちろん、保護者や関係者、多くのファンの願いが結集する。圓井さん一家の思いも込められたマスクは、力強くプレーする選手たちのお守りになるに違いない。

アスレシピのマスクも作ってもらいました

アスレシピのオリジナルマスク
アスレシピのオリジナルマスク

アスレシピのロゴカラーで、オリジナルマスクを作ってもらいました。薄いアイボリー色の布地にオレンジと焦げ茶色のライン、アスレシピのアイコンロゴのプリント入りです。早速、編集部メンバーで着用してみると、不思議とこれまで以上の一体感、元気が沸いてきました。これからも皆さんに役立つ情報を提供できるよう、私たちも「ONE TEAM」で頑張っていきます。

【アスレシピ編集部・飯田みさ代】