<医療ライター・しんどうとも「メンタル回復法」(14)>
禅僧で精神科、心療内科医の川野泰周さんの話。
「マインドフルネスな時間では、実際に脳の中でも“情報を取りにいかない”というモードになっています。これを“beingモード”といい、対してメールの内容やテレビのニュースなどを自ら取りに行くのが“doingモード”。beingモードはdoingモードを手放すということです。感じるがままの受動的な状態は、脳の中心寄りにある部位の活動を休ませることでどんどん脳疲労が回復していくと考えられます」
モードを切り替えて回復した脳も、ふだんの生活に戻れば、再び同じ脳の使い方をしてしまう。せっかくの効果をふいにしないためにもマインドフルネスを身につけよう。
「一時的な休養で心や脳を回復させるだけではなく、能動的にレジリエンスを高めていく手法としてマインドフルネスを日々練習することが大切です。また自然あふれる場所で徹底的にマインドフルネスの練習をすることは、療養、治療に最高の環境なのです」
レジリエンスとは困難な状況に適応する力などを指す“心の抵抗力”。レジリエンスの低下が脳の疲れを増長させる可能性がある。現在川野さんは都内や神奈川県の診療所で週2、3回の診療に加え、長野県内の施設でも指導にあたっている。
「飯綱高原にある“いのちの森 水輪”というところで2泊3日の合宿を通して指導しています。自らの心と向き合い、英気を養いたいという人が全国から多数訪れているのです」
(2020年11月6日、ニッカンスポーツ・コム掲載)